高台に立つ校舎。毎朝、始業前に読経して心を静め、決意を新たに一日の学校生活を開始する(写真/学校より提供)
高台に立つ校舎。毎朝、始業前に読経して心を静め、決意を新たに一日の学校生活を開始する(写真/学校より提供)

 2年ぶりの開催となった夏の高校野球は8月29日、決勝戦が行われた。9対2で“智弁対決”を制し、2021年夏の甲子園優勝校となった智辯学園和歌山高校は、医学部進学にも強い男女共学校としても有名だ。なぜ、医学部合格を勝ち取れるのか、どんな授業をしているのか。その秘密に迫った、2021年1月5日配信の記事を再掲する。

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 青い空をまっすぐな白球が飛んでいく。1978(昭和53)年に開校した智辯学園和歌山高等学校は、甲子園(全国高等学校野球選手権大会)での優勝校としても名を馳せるが、医学部進学に強い男女共学校としても有名だ。

 2020年は防衛医科大学校に12人、和歌山県立医科大学に12人ほか、計
37人が医学部合格を勝ち取った。理事長でもある藤田清司校長は、こう話す。
「開校以来、教職員たちの合言葉として『東京大学と国公立医学部医学科の合格者数を増やす』を掲げて邁進してきました。生徒も先生もがんばったおかげで、今の智辯和歌山があるのです」

■勝負に勝つ五つのキーポイント
 
 コロナの影響で昨年、選抜甲子園の開催は中止となった。それを聞いたとき、野球部員だけでなく学校全体が落胆した。だが、藤田校長はこう諭し、励ましたという。

「県大会の可能性や交流試合の実施はあるかもしれないので、日々の努力を積み重ねなさい。がんばったら必ず、いいことがある」と。
 
 応援団とチアリーダーとブラスバンドが織りなす智辯和歌山の野球の応援は独特であり、全国的にも知られている。全校生徒が一つとなり、野球を応援することも、進学に影響しているという。

「勝負に勝つには五つのキーポイントがあります。(1)大きな目的目標を持つ、(2)日々の地道な努力、(3)絶対に最後まであきらめない精神、(4)仲間との団結力、(5)感謝の心。このすべてがそろっているとき、人間はとても強くなれるのです」
 
 これは野球だけの話ではなく、大学進学も同じだという。目標とする大学を決めたら日々の努力を怠らず、模擬テストが悪くても最後まであきらめない。友達や先生との団結力、そして常に感謝の心を持つ。

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