1学年上の坂本勇人という絶対的な求心力を持つ主将がチームを引っ張り、同学年には菅野智之、丸佳浩と球界を代表する選手たちがいる。原監督は主力を特別扱いはしない。野球に取り組む心構え、姿勢を重視し、勝利のためにはクリーンアップを担う強打者たちにも犠打をさせることを厭わない。

巨人ファンからは「日本ハムでどん底だった中田が巨人に移籍しても覚醒するとは思えない」、「巨人のイメージから程遠い中田をなぜ獲得したのか。反省する時間が少なすぎる」と今回の電撃トレードに疑問の声も少なくない。

 一方で、スポーツ紙記者は別の見方をする。

「日本ハムでは深酒しても何も言われなかったし、コロナ禍で飲み歩けないストレスを表に出していたが、巨人では心を入れ替えて野球をしないと生き残れない。本人もラストチャンスと分かっているでしょう。私生活から見直して、本気で野球に取り組めば凄い選手になる可能性を秘めている。シーズンは残り数か月ですが、中田の野球人生の岐路になると思います」

 中田は入団会見で、「本当にこうやってチャンスをもらったということは、絶対に裏切ってはいけないと思いますし。一からしっかり自分を見つめ直してしっかりやっていきたいなと今は思っています」と誓った。

 巨人ファンだけでなく、長年応援してきた日本ハムファンも見ている。中田は失った信頼を取り戻せるか――。(朝倉一平)