菅義偉首相と麻生太郎財務相(C)朝日新聞社
菅義偉首相と麻生太郎財務相(C)朝日新聞社
「お・も・て・な・し」の滝川クリステルさん(右から2番目)らと2013年7月、IOCでプレゼンした麻生太郎財務相(左から2番目)(C)朝日新聞社
「お・も・て・な・し」の滝川クリステルさん(右から2番目)らと2013年7月、IOCでプレゼンした麻生太郎財務相(左から2番目)(C)朝日新聞社

「菅首相は五輪を知らない。だからダメなんだよ」

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 麻生太郎財務相は東京五輪の閉幕後、周辺にこう語ったという。麻生財務相はクレー射撃で五輪出場経験のあるオリンピアンだ。全日本選手権で、3度優勝し、1976年モントリオール五輪に出場したキャリアを誇る。

 菅義偉首相が低迷する内閣支持率の「起爆剤」と期待した東京五輪だったが、メダルラッシュに国中が沸くも閉幕後の支持率は29%(NHK)、28%(朝日新聞)と低迷した。

 反比例するように新型コロナウイルスの感染拡大が加速し、菅政権は17日夜、「緊急事態宣言」の対象地域に茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を20日から新たに加え、すでに発出されている東京や大阪など6都府県も含め、期限を9月12日まで延長せざるを得なくなった。

「官邸は政権末期のようなグダグダぶりで、菅政権こそが緊急事態だろうという声も聞かれます。いま、政権で勢いを増しているのは、麻生さんです。クレー射撃で五輪出場した自慢話を交えつつ、菅首相にダメ出し。政権内部では『麻生さんは本気でキングメーカーを狙って射撃の照準をあわせているのではないか』と苦笑交じりに言われています」(政府関係者)

 感染拡大に歯止めがかからない状況の中、ワクチン供給が遅れ、イライラが募る菅首相。官邸関係者がこう打ち明ける。

「ワクチンを巡って菅首相と麻生財務相の暗闘がありました」

 ワクチン配分が大混乱した理由の一つが、菅政権が肝いりで進めた職域接種だった。

「職域接種に大量のワクチンが投入されたことで、自治体に回す数が少なくなってしまい、混乱が生じた」(厚労省幹部)

 福岡を地盤とする麻生財務相の一族は、九州で一大企業グループを形成しており、地元経済界の重鎮として知られる。その麻生グループの中核企業「麻生」の社長、麻生巌氏が5月15日、公邸に姿を見せた。巌氏は麻生氏の甥にあたる。その時、麻生巌氏と一緒に菅首相と面会したのは、九州を中心に全国で病院介護施設など展開している桜十字グループの西川朋希代表だった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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2日連続で総理公邸で面会した理由