今大会では年俸が高くない若い選手も活躍を見せている。


 
 メキシコ戦で先発し、5回2失点に抑えた森下暢仁投手は、年俸4300万円。メキシコ戦で森下の後を継いで、2回を1安打無失点と好投した伊藤大海投手は、今大会で最も低い1500万円だった。伊藤は今シーズンから日本ハムに入団したルーキーで、侍ジャパンに大抜擢された選手だ。野球に詳しいスポーツライターはこう見る。

「森下は初めての国際舞台ということで序盤は緊張して、苦しんでいる様子でしたが、徐々に本来の調子を取り戻して好投しました。伊藤はストレートが走っていて、調子が良いように見えました。二人ともとりあえず初登板を終えたので、会場の空気感にも多少慣れたでしょう。次回の登板はもっとギアをあげてくるかもしれませんね」
 
 まだいい活躍を見せられていない選手の年俸も見ておこう。
 
 ドミニカ戦で2番手として登板した青柳晃洋投手は2/3回を3安打2失点1四球とパッとしなかった。年俸は5千万円だ。侍ジャパンの4番を務める鈴木誠也選手はここまでヒットゼロと本来の調子を見せられていない。年俸は3億1千万円だった。先のスポーツライターはこう語る。

「特に鈴木はまだ年俸分の活躍は見せられていないですね。プレミア12では大活躍だったので、今後の奮起には期待です。金メダルを獲るには鈴木の活躍が不可欠。実力は申し分ないので、一本ヒットが出れば変わると思います」

 最後に今大会のシンデレラボーイになりそうな選手は誰か。江本さんは村上宗隆内野手に注目する。今大会はここ2試合で2安打2打点と活躍を見せている。シーズンでもヤクルトでここまで26本のホームランを打つ若き主砲だ。年俸は1億円だった。

「村上は一発ホームランを打てば、大きな自信がつくでしょうね。今シーズンは打率は良くないですが、ここで打てばますます脅威になりますよ。阪神巨人を脅かすかもしれません」(江本さん)

 ちなみに、江本さんが活躍した70年代は年俸1千万円が大台で、江本さんの最高年俸は1800万円だったという。侍ジャパンには高額年俸の選手がズラリと並ぶ。ぜひファンが魅せられる活躍を期待したい。(文/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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