男子水泳のエースに対し、世間から向けられた視線は依然として厳しい。東京五輪で200m個人メドレー、400m個人メドレー、200mバタフライの3種目に出場予定の瀬戸大也だ。

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 昨年9月に一般女性との不倫が発覚。所属先だったANAが契約解除し、日本水連は年内活動停止処分を課した。今年2月に復帰し、4月の日本選手権で2冠を獲得したが試合後の記者会見で表情は硬いままだった。

「心なしか頬がこけてやつれたように見えました。とはいえ、数か月も満足に泳げなかったにもかかわらず、結果を出すのが凄い。6月に行われたジャパンオープン2021でも400m個人メドレーで優勝して状態を上げてきています。ただ金メダル獲得となると、今のままでは厳しい。6月の大会でも自己ベストより3秒遅れている。五輪は誰がライバルというより、自分との戦いでしょうね。絶好調の状態にどこまで戻せるか。この一点に尽きると思います」(スポーツ紙記者)

 16年に開催されたリオデジャネイロ五輪の400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得。ライバル・萩野公介が金メダルに輝き、トップ争いに加われなかったのが悔しかった。その後の成長速度は目を見張るものがあった。ワールドカップは連戦連勝し、19年の世界選手権で個人メドレー2種目を制する。12月米国で開催された国際水泳リーグの400メートル個人メドレーでは短水路世界新記録を樹立して優勝。「五輪で金メダルに最も近いスイマー」と海外メディアからも称賛された。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年延期に。「喪失感で抜け殻になりました。気持ちを切り替えて『来年頑張ります』なんて言えなかった」と珍しくSNSで弱音を吐いた。「絶対に金メダルをとってやると強い気持ちを少しずつ作っていき、また再スタートします」と気持ちの切り替えを誓ったが、女性問題が週刊誌で報じられ、批判の声が殺到。一時は五輪出場すらも危ぶまれた。

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「苦しみを乗り越えて」に違和感