本サイト既報のように、公明党はボーダーライン上の候補者を何とかしようと、現役閣僚である赤羽一嘉国交相まで“稼働”させていた。公明党の都議候補延べ14人、衆院東京12区から出馬予定の岡本三成衆院議員らを同行させて、中野区、荒川区など落選者が出そうな地域を「公務」と称して視察。その光景をブログやSNSで拡散させ、候補者の宣伝材料に使っていた。

 そればかりではない。山口那津男代表自らが公示日前から選挙区に入ってテコ入れに躍起となった。公明党関係者が明かす。

「例年なら、5月のゴールデンウイーク頃から支持母体の創価学会員が全国からワーッとやってきて、知人宅を回って支持を広げてくれます。同様に全国から地方議員も集まってくれていた。それが今年はコロナ禍での外出や県をまたぐ移動の自粛により、いつもの勢いはない。学会員も地方議員も来てくれてはいますが、例年とは数と勢いが全く違います」

 また、公明党の情勢は“宿敵”である共産党が握っているとの見方もある。

「都議選では立憲民主党と共産党が連携を強化しています。現状分析では、立憲が候補者を立てずに共産を支援するところでは候補者の票が伸びそうで、逆に共産党が候補者を立てずに立憲を支援するところは意外と伸びていない。立憲の内部には共産党に対するアレルギーがある。立憲と共産の選挙協力がうまくいかない場合は、公明党の候補者が“漁夫の利”を得る可能性もある」(前出・政府関係者)

 公明党は候補者全員当選という記録を更新するか、はたまた過去最悪の結末になるか。“正念場”となる選挙戦を迎える。(取材・文=AERA dot.上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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