1995年に就任した天理大学の小松節夫監督にとって、これが27年目のシーズンとなる。帝京大学の岩出雅之監督と同様に長期にわたって監督を務め、大学王者となるところまでチームを作り上げてきた。

 対照的に、早明両校は監督が交代した。早稲田大学の相良南海夫前監督は3年間、明治大学の田中澄憲前監督は4年間(ヘッドコーチ時代を含む)という短い在任期間中、共に王座から遠ざかっていた母校を大学日本一に導いた。

 新たに就任した早稲田大学の太田尾竜彦監督と明治大学の神鳥裕之監督に共通する特徴は、トップリーグの指導現場から転進したことだ。長くヤマハ発動機ジュビロで活躍した太田尾監督は2018年に引退後、今年3月までヤマハ発動機のアタックコーチなどを務めてきた。一方、神鳥監督は今年5月までリコーブラックラムズの監督。最後のトップリーグを戦い抜いた後、6月から母校の監督に就任した。

 トップリーグに集った世界のトップは、ボーデン・バレットやキアラン・リード、TJ・ペレナラ(いずれもニュージーランド)、マカゾレ・マピンピ(南アフリカ)、マイケル・フーパー(オーストラリア)、グレイグ・レイドロー(スコットランド)ら選手だけではない。

 南半球の強豪国の代表監督を務めたことがあるジェイク・ホワイト(南アフリカ)、ウエイン・スミス(ニュージーランド)、ロビー・ディーンズ(オーストラリア)ら多くのトップコーチが各チームの指導に関わってきた。ピッチ外でも世界レベルの影響を受けてきたトップリーグでの指導経験を、大学ラグビー界にどう活かすかが注目される。

 太田尾監督の初采配は黒星スタートだった。5月9日に関東大学ラグビー春季大会で東海大学と対戦。前半はリードして折り返したが、後半に逆転されるとさらに差を広げられ、26-48で敗れた。

 一方、神鳥監督の初陣は劇的な逆転勝利。就任直後の6月6日、早大に快勝している東海大学を28-26で下した。前半からリードを許した明治大学は、後半終盤のトライで5点差まで追い上げる。試合終了間際のトライで追いつき、ゴールキックを決めて勝ち越した。

 この日、早稲田大学も日本大学と対戦、31―17で今シーズン初勝利を挙げている。

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大学ラグビー界もコロナ禍で…