楽天・田中将大(左)と巨人・菅野智之(右) (c)朝日新聞社
楽天・田中将大(左)と巨人・菅野智之(右) (c)朝日新聞社

 田中将大楽天)、菅野智之(巨人)の2人は、残りのキャリアを日本で終える可能性もあるのではないか。

 日米の野球界の状況は常に変化しているが、コロナ禍も重なりここから何年かは日本からメジャーへの移籍に関しては、決して良いタイミングと言えないからだ。また、最近メジャーに渡った日本人投手の成績も芳しくないのも影響してくるだろう。

 先日もジャイアンツ傘下3Aでプレーしていた山口俊が日本球界復帰を決断。19年オフ、巨人が初めてポスティング制度でのメジャー移籍を容認したことが話題になったが、加入したブルージェイズでは結果が残せず、1年で戦力外に。今季はシーズン前にジャイアンツに移籍したが、マイナー暮らしが続き成績もパッとしなかった。

「山口(の結果)に驚きはないが、日本人投手全体への評価が下がっている。日本人投手獲得にはそれ相応の予算が必要だが、見合うだけの結果を残せないケースが続いた。それならば米国内や中南米などから安くて若い投手を獲得した方が賢明。今後は海を渡る投手が減りそうな気配がある」(MLBアジア地区担当スカウト)

 NPBから一線級の投手がメジャーに挑戦する場合は、FA権の取得なども絡み、どうしても30歳前後で渡米となることが多い。移籍するタイミングでは、投手としてピークだったとしても、その後活躍できる年数を考えると、5年でも御の字である。それならば先の長い若い投手を、国内などから割安で獲得した方がビジネス的にメリットも多い。

「(今季は)8月に35歳になるダルビッシュ有(パドレス)が頑張っているくらい。33歳の前田健太(ツインズ)も以前のような輝きはない。有原航平(レンジャーズ)は28歳で右肩の動脈瘤手術を受けて先は見えない。大谷翔平(エンゼルス)のように20代の早い段階で将来性抜群の投手以外はメジャー挑戦は難しくなりそう」(スポーツ新聞MLB担当)

 前田は昨シーズン、ア・リーグのサイ・ヤング賞の投票で2位となる活躍を見せ、今季は開幕投手を務めたが、現在は右足内転筋の張りの影響でIL(故障者リスト)入りしている。手術を受けた有原も復帰までに最低12週間かかる模様で、今季中の復帰は微妙な状況だ。能力的なことでだけではなく、日本人投手がメジャー移籍後にケガをすることは多く、それもメジャー球団側の懸念材料にもなっている。

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楽天復帰は「絶妙なタイミング」