政府が全国の自治体にワクチンの接種券情報を読み取るために配布しているタブレット端末が「ポンコツ過ぎる」と現場で使われていないケースが相次いでいる。
タブレットは接種券に記載された数字の番号をタブレットのカメラで読み取るために配布されたものだが、正しく読み取れないトラブルが続出。政府は対応策として5月下旬からタブレットを置くスタンド(台)を1400自治体に2万9千台も配送したが、「使い勝手が悪すぎる」とシステムを見切る自治体も出ている。
河野太郎ワクチン担当相、小林史明補佐官率いる内閣官房(IT総合戦略室)が所管する接種記録システム「VRS」は、全国の自治体や病院のワクチン接種状況をリアルタイムに把握するために開発されたもの。
接種券の情報を瞬時に読み取る機器としてタブレットを3月、全国の自治体へ配布し、河野担当相がシステムを披露した際、「早い」「余裕で入力できちゃう」とPRした。
しかし、配布後、接種券の情報が読み取れないトラブルが全国で続出した。タブレットを接種券にかざして情報を入力する仕様だったため、「手ぶれしてピントが合わない」「間違った数字が登録されている」などの苦情が相次いだ。
対応策として接種券とタブレットを平行に置くための専用スタンドを用意し、希望する自治体に配布することを決めた。IT総合戦略室によると、スタンドを希望した自治体は1400で、5月24日から計2万9千台のスタンドの配送を始めたという。
「菅政権ではデジタル庁設置などを目玉の一つに掲げていますが、河野大臣らのワクチンシステム対策は、スタンド配布など極めてアナログ、原始的な取り組みであまりにお粗末です。こうしたITスキルの低さがワクチン接種に混乱と遅延を招いている一つの要因です。台湾のオードリー・タン氏が見たら笑うでしょう」(政府関係者)
しかし、スタンドを置いても使い勝手は悪さは改善できず、現場では独自の情報管理のシステムをつくり、見切りをつける自治体も出てきている。