なぜ、野生ではみられない「たらこ唇」のマンボウの絵を描くようになったのか?  (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ、野生ではみられない「たらこ唇」のマンボウの絵を描くようになったのか? 

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漁獲された全長1.8mの野生マンボウ。たらこ唇にはなっていない。(C)澤井悦郎

漁獲された全長1.8mの野生マンボウ。たらこ唇にはなっていない。(C)澤井悦郎

閉業したマリンピア松島水族館で飼育されていた全長1.8mのマンボウ(2006年7月17日撮影)。下唇が異常に腫れ、たらこ唇になっている。(C)澤井悦郎

閉業したマリンピア松島水族館で飼育されていた全長1.8mのマンボウ(2006年7月17日撮影)。下唇が異常に腫れ、たらこ唇になっている。(C)澤井悦郎

話題になったマンボウ研究員ヨシモラ(@yoshimola)氏によるツイート。(C)マンボウ研究員ヨシモラ

話題になったマンボウ研究員ヨシモラ(@yoshimola)氏によるツイート。(C)マンボウ研究員ヨシモラ

 あまり知られていない豆知識を披露するTwitter上で人気タグ「#これ意外と知られていないんですけど」。見てみると、思わず「へぇ~」と言いたくなるようなツイートばかりで面白い。そんなタグに2021年4月上旬、何かと世間を騒がせていたマンボウに関する1つの豆知識が披露された。
 
 マンボウ研究員ヨシモラ(@yoshimola)氏によるツイート「マンボウといえばたらこ唇だが、これは飼育されている個体だけに見られる特徴。水槽の壁で擦ることでくちびるが腫れ、たらこ唇になる。実は野生のマンボウはたらこ唇ではない。」は、このツイートを見た多くの人に衝撃を与えた。

 ヨシモラ氏は筆者の活動サークル「マンボウなんでも博物館」にも所属し、一緒に水族館でマンボウ24時間観察を行ったこともある人物だ。水族館の飼育個体と漁獲された野生個体を見比べて、このことに気が付いた。今回はこの豆知識からさらに踏み込んで、「何故人々はマンボウの絵をたらこ唇に描いてしまうようになったのか?」という理由まで考察しよう。

■飼育されたマンボウがたらこ唇になる原因

 私は大学院時代にマンボウの野生個体の形態をたくさん調査した。その時は全く気付かなかったのだが、後に水族館で飼育されているマンボウにも興味を持ち、行動観察をするようになって、ある時気が付いた。そう、水族館で飼育されてるマンボウの多くは「たらこ唇」をしているのだ。

 もしかしたら、野生にもこのようなたらこ唇をしたマンボウがいるのかもしれないが、私は見た記憶がない。口の周りが白くなって唇のように見える野生個体はいたが、たらこ唇ではない。

 私は「なんで飼育個体はたらこ唇をしているのだろう?」と疑問を持った。たらこ唇のマンボウは特定の水族館だけか?と思い、複数の水族館で飼育されているマンボウを観察したが、どこのマンボウもたらこ唇だった。

 水族館のマンボウを長時間観察していると、顔の正面から壁や透明の保護シート(以下、境界)にぶつかって一心不乱に泳ぎ続ける行動が見られる。水族館でこの光景を見たことがある人は多いのではないだろうか。
マンボウの皮膚は厚いのだが、境界に繰り返し何度も擦り付け続けると、徐々に表皮が剥げ、傷ができ、化膿して腫れてしまう。自分が壁に体を擦り付け続けたら、どうなるか想像してみて欲しい。飼育下のマンボウがたらこ唇になる原因は、境界に口を擦り続けた結果だと思われた。


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