阪神サンズ(左)と巨人スモーク(右)(画像は阪神タイガース、読売ジャイアンツからの提供写真)
阪神サンズ(左)と巨人スモーク(右)(画像は阪神タイガース、読売ジャイアンツからの提供写真)

 開幕から各球団約20試合を消化した今年のペナントレース。シーズンはまだまだ始まったばかりだが、上位と下位の差は徐々に開きつつある。特にセ・リーグでは阪神巨人の2球団が頭一つ抜けているという印象が強い。この両チームのここまでの戦い方から見えてきた強みと、リーグ優勝に向けてのポイント、キーマンなどを探ってみたいと思う。(※文中の成績などは全て4月18日終了時点)

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 快調に首位を走る阪神の最大の強みは投手陣だ。開幕してから、これまでに一軍登録を抹消された投手が一人もいないのは12球団で阪神だけであり、ピッチングスタッフがいかに充実しているかがよく分かるだろう。これまでも投手力が持ち味のチームだったが、特に大きいのが昨年から成績を伸ばしている選手が多い点だ。先発では藤浪晋太郎とガンケルが早くも前年を上回る勝利数を記録し、ルーキーの伊藤将司もプロ初勝利をマークしている。

 西勇輝、青柳晃洋、秋山拓巳はコントロールが武器の投手だけに、ここに速いボールで押せる藤浪とガンケルが加わったことで、ローテーションに緩急が生まれて、相手打者の対策が難しくなっていることは間違いないだろう。リリーフでは新加入の加治屋蓮、ルーキーの石井大智は失点する場面が目立っているものの、昨シーズン途中にオリックスから移籍した小林慶祐がここまでほぼ完璧な投球を見せている。4月16日のヤクルト戦で今シーズン初ホールドをマークしたが、今後は勝ちパターンでの登板機会も増えていくことになりそうだ。

 打線は投手陣ほど好調な選手が多いわけではないが、大技と小技のバランスの良さが目立つ。盗塁数18、犠打数16はいずれもセ・リーグトップの数字であり、しっかり走者を進めることができている。その進めたランナーを大山悠輔、サンズの中軸2人がしっかり返しており、ルーキーの佐藤輝明も打率は低いもののチームトップタイのホームラン(5本)を放つなど長打力で貢献している。もう1人のルーキー中野拓夢もレギュラーを奪う勢いだ。大山、近本光司の2人が復調してくれば、更に得点力のアップが期待できるだろう。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
巨人は好調ではないが…