「信念は変わっていない。プロ野球選手は個人商店であり、チームメイトとはいえ他選手はライバル。個人がそれぞれ結果を出すことでチームも強くなる。自分のことを考えていれば良い。それができる逞しい選手が揃わないから、補完しあって戦わないといけなかった。理想に近くなりつつあるのではないか」(現役時代から知るスポーツライター)

「近未来の巨人軍を背負って欲しい」が口癖だった。「この選手だ」と思った選手は何があっても使い続け、育て上げた。坂本勇人は球史に残るスーパースターに上り詰めた。高橋由伸前監督時代から“未来の大砲候補”だった岡本和真は、真の4番になろうとしている。

「坂本、岡本という生え抜き。丸などの適材適所の補強。大城という攻撃的捕手も出て来た。9人で戦う野球が完成形に近くなっているのに加え、菅野が残留を果たした。原監督の動きが静かになって来たのも理解できる」(在京球団編成担当)

 原野球を遂行するのには、当然投手の大黒柱も欠かせなかった。去就次第によっては、今年の戦い方も変化した可能性はあるが、エースはメジャーへの移籍を断念し、巨人残留を選択した。

「菅野智之は巨人軍のエース、大黒柱であり、一緒に戦えることをうれしく、頼もしく感じています。監督としては最高の形になりました。今季、戦う上で坂本、菅野は中心選手です。先頭に立って、チームを引っ張ってもらいます」(1月8日/原監督)

「2、3日は寝られなかった」と語るほど、日本シリーズではソフトバンクとの圧倒的な実力差を味わった。直ちにリベンジを誓ったのは間違いないが、菅野の去就次第では戦術プランも大きく変わる状況だった。葛藤が伝わって来るようなコメントが多かったのも納得だ。

「原監督が公の場でDH制度導入を訴え始めたのは19年頃。菅野のメジャー挑戦が、現実的になり始めた時期とも重なる。全てではないだろうが、多少の影響はあったはず。巨人残留決定後は、DH制に関して多少トーンダウンしましたからね」(在京テレビ局スポーツ担当)

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巨人は今年どんな野球を見せてくれるのか