吉川尚輝選手(c)朝日新聞社
吉川尚輝選手(c)朝日新聞社

 本来なら二塁のレギュラーで活躍しなければいけない。ベンチを温める日が続いているのが巨人・吉川尚輝だ。

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 「いわゆる天才型ですね。遊撃で坂本勇人の後継者と目されていて、現時点でも守備範囲の広さは吉川の方が上だと思います。二塁でも8年連続ゴールデングラブ賞を獲得している広島・菊池涼介にひけを取らない好守を見せる時がある。打撃も難しい球をヒットゾーンに飛ばして、チームメートをうならせることが珍しくない。バリバリのレギュラーで活躍しなければいけない選手なのですが…」。(スポーツ紙遊軍記者)

 その実力を高く評価しているのはチームメートだけではない。相手球団の首脳陣は「吉川は巨人のレギュラーの枠に収まらない。野球センスは坂本勇人を上回る素材だと思う。球界を代表する選手になるよ」と能力の高さを認めている。メジャーリーガーたちも一目置く。ツインズ・前田健太は昨年6月に自身のYouTubeチャンネル「マエケンチャンネル」で、「空想日本代表ドラフト会議」を配信した際、「吉川はメチャメチャ打撃がいいと思う」と絶賛。ゲストで共演したレッズ・秋山翔吾も自身が15年に樹立したNPB歴代最多の216安打を超える可能性を秘めた選手として、吉川の名を挙げていた。

 覚醒したかに見えたのが19年だった。開幕戦から1番打者として起用され、11試合で打率が4割近いハイアベレージをキープ。ところが、持病の腰痛が悪化して4月14日に登録抹消されると、シーズン閉幕まで1軍の舞台に戻ることはなかった。選手生命も危ぶまれる中、ファームでは腰の負担を考えて外野を守った時もあった。

 昨季は112試合出場で打率,274、8本塁打、11盗塁。前年の長期離脱から見事に復活し、二塁の定位置をつかんだ。1番打者でチームトップの46試合にスタメン出場したが、物足りなく映るのは能力の高さゆえだろう。出塁率.336はリードオフマンとして物足りない。シーズン前に原辰徳監督がDeNAから移籍した梶谷隆幸を1番に描く打線構想を語ったのも、吉川の立ち位置を表している。

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