マクレナン戦までの20試合で14.5得点、2.1リバウンドという数字は、決して目立つものではないが、FG成功率50.5%、3Pシュート成功率47.7%、FT成功率92.1%とシュートの正確性は健在。同カンファレンスではシューターとして高い評価を受けるまでになっている。

 そんな富永に対するネブラスカ大の期待も大きい。同大で指揮を執るフレッド・ホイバーグHCはNBAで10シーズンを過ごしたが、キャリアで39.6%の3Pシュート成功率を残した名シューターでもある。

 富永の編入が決まった際には「彼(富永)は“日本のステフィン・カリー”というニックネームが付けられており、どこからでも決められリリースが速いエリートな3Pシューターだ。ケイセイは、シュートだけでなくスペーシングでチームにすぐインパクトを残してくれるだろうし、彼により、他選手もドライブしやすくなると思う」とコメント。ホイバーグHC自身のツイッターでも「家族にようこそ」(原文のまま)と日本語でつぶやくなど、富永の同大入りを歓迎していた。

 富永がプレーすることになるネブラスカ大は、インディアナ大学やメリーランド大学など知名度が全国区の大学ばかりが揃うビッグ10カンファレンスに所属している。つまり、富永はチーム内でのロースター枠、その先のスターター枠の争奪戦に勝たなければならないのはもちろん、試合に出られても、そこにはこれまでと違う激しいハイレベルな戦いが待っている。

 富永のロングシュートの魅力と言えば、カリー、ダミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)をも彷彿とさせるどこからでも打てるシュート範囲の広さと、クイックリリースだ。果たして富永は、ディビジョン1の舞台でも持ち味を発揮し、第二の八村塁(ワシントン・ウィザーズ)や渡邊雄太(トロント・ラプターズ)のような存在になれるのか?

 NCAAの男子バスケは現地5日で今季の締めくくりを迎えるが、今から秋の新シーズンが楽しみでならない。(文/田村一人)