南海時代の野村が2度目の本塁打王を獲得した61年世代とあって、野球好きの父が命名したと思いきや、本人は「だいたいぼくも最初はあの野村さんと同じ名前だと気がつかなかったぐらいですからね。まわりから言われてはじめて知ったけど、うちのおやじもそんなこと意識していなかったようです」(報知高校野球創刊号)と意外なコメント。

 とはいえ、170センチ、63キロとやや小柄ながら、豪快なバッティングは、まさに名は体を現す。1回戦の浜松商戦では、3点を追う7回に反撃の口火を切る安打を放つなど、チームで唯一2安打を記録し、次打者の連打で1死一、二塁とチャンスを広げたが、健闘及ばず、0対3でゲームセット。勝った浜松商は、この大会の覇者となった。

 甲子園には出場していないが、92年にも明和県央(群馬)の同姓同名の捕手・野村克也が話題になった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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