「とくダネ!」の小倉智昭(左)と「サワコの朝」の阿川佐和子(C)朝日新聞社
「とくダネ!」の小倉智昭(左)と「サワコの朝」の阿川佐和子(C)朝日新聞社

 春の訪れとともに、テレビ業界は改編期を迎える。今回の改編では、コロナ禍という事情もあって、各局で大変革が行われている。中でも特筆すべきは、テレビ局を代表するような有名な番組が続々と打ち切られていることだ。

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 特に『とくダネ!』『噂の!東京マガジン』、『サワコの朝』など、年配のタレントが出演する番組が終了するケースが相次いでいる。

 22年続くフジテレビの朝の看板番組である『とくダネ!』の打ち切りは大きな話題になった。番組内で終了を発表したときの司会の小倉智昭は、まだまだ番組への意欲を見せており、潔い言葉とは裏腹に悔しさがにじみ出ていた。

 また、日曜の昼に放送されている『噂の!東京マガジン』(TBS)は、視聴率も高い人気番組だったが、この春に地上波での放送を終了し、今後はBS-TBSで放送されることになった。この番組のレギュラー陣の大半は、森本毅郎(81)、井崎脩五郎(73)、清水国明(70)、山口良一(65)、笑福亭笑瓶(64)などの年配タレントだった。

 年配タレントが出演する番組が続々と打ち切られている背景にあるのは、テレビ局の苦しい懐事情である。

 テレビの広告費は年々減少の一途をたどっており、2019年にはインターネットの広告費にも追い抜かれた。その影響で番組制作費は減らされる一方だったのだが、昨今のコロナ禍がそこに追い打ちをかけた。コロナ不況のせいでスポンサーを降りる企業も増えており、制作費削減にさらに拍車がかかった。

 そのしわ寄せをもろに受けたのが、ギャラの高い年配タレントというわけだ。「ギャラが高いなら下げればいいじゃないか」と思う人もいるかもしれないが、それは簡単なことではない。業界ではタレントごとにギャラの相場は決まっていて、上がることはあっても、下がることはほとんどない。

 だから、長年にわたり活躍していてギャラ水準が上がっている年配タレントは、局にとって大きな負担となってしまう。「その人が出るだけで数字が上がる」などのどうしても起用すべき理由がない限り、切り捨てるしかないのだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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