日本テレビ本社(C)朝日新聞社
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 12日に日本テレビの情報番組「スッキリ」内でアイヌ民族への差別表現が放送された問題は、いまだ収まりをみせない。騒動を受け、15日には同番組の冒頭で、水卜麻美アナウンサーが「制作に関わった者に、この表現が差別に当たると言う認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と頭を下げた。北海道のアイヌ民族集落の人たちはこの発言をどう聞いたのか。

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 問題の発言は、12日朝に放送された。アイヌ民族の女性の人生を追ったドキュメンタリー映画を紹介した後、芸人の脳みそ夫(41)が同作品に絡め、差別的な言い回しを含んだ謎かけを披露した。

 騒動を受け、日本テレビは同社ホームページの最上部に、以下の謝罪文を掲載。

<3月12日(金)放送の「スッキリ」の中で、アイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリー作品を紹介しました。それを受けての放送内容においてアイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました。
日本テレビではアイヌの皆様、ならびに関係者の皆様に深くお詫び申し上げるとともに今後、再発防止に努めてまいります。>

 問題となった放送の翌日、北海道アイヌ協会の幹部が緊急に会合を開き、対応を協議。北海道アイヌ協会の大川勝理事長(76)は「憤りを感じ、大変遺憾である。このまま終わらせるわけにはいかないので、きちっとした対応を日本テレビにしてもらいたい」と記者団にコメントした。

 同局は、差別表現が放送された理由について、12日の朝日新聞の取材にこうコメントしている。

「当該コーナーの担当者にこの表現が差別に当たるという認識が不足しており、放送前の確認も不十分でした。その結果、正しい判断ができないまま、アイヌ民族の方々を傷つける不適切な表現で放送してしまいました」

 これに対して、SNSでは「コーナー担当者のせいにしている」「責任の所在が分からない」などの批判も多く見受けられた。こうした批判を受けてか、15日の謝罪では、「認識不足」の主語が「コーナー担当者」から「制作に関わった者」に置き換わっている。

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「あの言葉を聞いただけで不快に思う人もいる」