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「沖縄が受けてきた仕打ちを知ること」望月衣塑子記者が感じる“偏向”への怒り

日本学術会議の梶田隆章会長と会談し、記者の質問に答える菅義偉首相=2020年10月16日、首相官邸 (c)朝日新聞社

日本学術会議の梶田隆章会長と会談し、記者の質問に答える菅義偉首相=2020年10月16日、首相官邸 (c)朝日新聞社

「元々、普天間基地は田んぼの中にあった。周りにはなにもない。そこに商売になるということで人が住みだした」。百田尚樹氏がネット上に広がる虚偽の言説を事実のごとく発信し、「沖縄の新聞はつぶさなあかん」と述べたのは、2015年6月25日、自民党の学習会でのことだ。

『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』の著者であり、ジャーナリストの安田浩一氏は「誇張、デマ、ときには、妄想をも動員する『ネトウヨの作法』そのものだ」と痛烈に批判する。

「琉球新報」「沖縄タイムス」の2紙が公権力の横暴を検証してきたのはなぜか。意見を封殺され、虐げられ、尊厳を傷つけられた「民の声」を聞き、報じる責務があると自任しているからだ。記者一人ひとりの思いと、2紙のこれまでの報道を知れば、彼らに憎悪と差別意識を込めて「偏向」というレッテルを貼ることこそ、ひどい偏向だとわかるだろう。著名人の口から侮蔑の言葉が平然と発せられるようになった背景を探るため、安田氏は地元記者たちの姿を丹念に追う。一方で、差別発言をする相手にも切り込み、緻密な取材を重ねた。

 安倍晋三政権の7年8カ月の間、官房長官として政権を支えた菅義偉首相は、2014年9月から沖縄基地負担軽減担当相を兼務し、基地問題や振興政策を一手に担ってきた。その間、県民が重ねて示してきた民意を徹底して無視し、権力を使った陰湿な「いじめ」を繰り返してきた。こうした政府の無理解と差別は、本土と沖縄との対立だけでなく、県内の分断も生んできた。

 もっとも罪作りなのは、「あいつらには何をいってもいい」「沖縄はわがままだ」という不穏で非民主的な空気を醸成したことだろう。そして「辺野古が唯一の解決策」と何度も強弁してきた“首謀者”が総理大臣の座にいる。政策能力と政権基盤の弱さから、菅氏は今後もこうした強硬策しかとれない。

 例えば、2020年10月、政府が日本学術会議から推薦された新会員候補のうち、6人を任命拒否したことが「しんぶん赤旗」の報道で明らかになったが、政府は拒否の理由を「総合的・俯瞰的」としか説明せず、日本学術会議の抗議も無視し、任命拒否の方針を取り下げようとしない。各団体からの反対意見や異論を黙殺している。


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