井上広輝は高校2年時に春夏連続で甲子園に出場。夏には早くも150キロをマークしている。最終学年は肘の故障もあってドラフトの順位は6位と低くなったが、同世代の中でも早くから好素材と評価されていた投手だ。昨年は二軍でわずか2試合の登板に終わったものの、フェニックスリーグの最終戦となった広島戦では5回を被安打1、わずか50球で無失点と抜群の投球を見せてアピールに成功している。このキャンプでもまだばらつきはあるものの、力強いボールを投げており、将来のローテーション候補として期待したい投手だ。

 そして新たにプロの世界に飛び込んだのがソフトバンク1位ルーキーの井上朋也だ。ここ数年、毎年プロに選手を輩出している花咲徳栄で入学直後からレギュラーを任された右の強打者で、1年夏、2年夏には甲子園でもその強打を見せている。層の厚いチームだけにまずは二軍で定位置を掴むところが目標となるが、合同自主トレとキャンプでは力強い打撃を見せており、首脳陣の評価も高い。松田宣浩の後釜として期待したい選手だ。

 NPBのホームページによると、彼ら5人以外に公式戦に出場した記録がある井上姓の選手は過去に28人。投手では井上祐二(元南海など)の54勝77セーブ、野手では井上登(元中日など)の1322安打が最高成績となっている。将来的には今回紹介した選手たちが、これらの記録を破り、日本プロ野球界の一大勢力となることも十分に期待できるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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