撮影:中西正男
撮影:中西正男
撮影:中西正男
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お笑いユニット「ザ・プラン9」のリーダー・お~い!久馬さん(48)。関西を中心にあらゆる舞台や番組の脚本も手掛け“西の宮藤官九郎”とも呼ばれています。人気劇作家たちの新作をオムニバスで上演する舞台「リバー・ソングス~大阪を流れていた6枚の枯葉~」(大阪・ABCホール、2月27日、28日)でも演出を担当。プレーヤー、そして作り手としてエンターテインメントに関わる久馬さんですが、新型コロナ禍はその久馬さんに「無力」という言葉を使わせるほどのダメージを与えてもいました。その中で感じたもの。そして、そこから見出した希望とは。

【写真】「コロナ禍でイリュージョンの7割できなくなった」と語ったのはこの人

 無力というかね……。何もできないんだなと思いました。

 芸人の中には、特に劇場を持っている吉本興業の芸人には、どこかで「いつの世も、舞台をやっていれば大丈夫」という思いがありました。でも、今の世の中では、その舞台すら、ままならなくなってしまった。「舞台までアカンのか」と。

 この前、数えて見たんです。大小織り交ぜて、年間100本以上は何かしら台本的なものを書いている。ほぼ舞台です。

 仮に、この先1年、2年と舞台がまともにできなくなったら、僕、何をしたらいいんやろうというのが正直なところです。

 去年4月には「ザ・プラン9」の19周年イベントをやる予定だったんです。19周年にちなんで19人とコントをしようということで「130R」さんや「バッファロー吾郎」さん、友近、又吉(直樹)、「ロバート」とか人気者にもたくさん来てもらって開催するつもりだったんですけど、コロナ禍で延期になってしまいました。

 今は今年4月に開催予定の20周年イベントの打ち合わせをしてるんですけど、おそらくは19周年より先に20周年をやる感じになるかなと(笑)。

 19周年イベント、延期ではなくて中止にしてもいいと言えばいいんですけど、でも、それはなんか悔しいんですよね。

 たくさんのゲストに来てもらう流れにしていたこともありますし、なんか、このまま中止というのはイヤやなと。

 もう23年目なのに19周年イベントをやるとか(笑)、そんな流れがあっても、それはそれで面白いのかなと思いますし、何かしら形に。そして、できれば、そこにプラスアルファを乗せて開催できればなと思っています。

 あと、お客さんの感覚もすごく変わりましたもんね。隣の人がすごく笑っていたら、以前だったら「盛り上がってる!」という方向に気持ちがいってたのかなと。ただ、今は「飛沫が怖い……」となってしまう。

 そういう心のブレーキみたいなものが、以前とは違うところでかかるようになってますし、そのことで楽しみにくくなった部分もあると思います。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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芝居を書いていても「これはいつの時代?」という意識