そして、この秋に女子プロリーグ=WEリーグでは、更なる環境改善が期待される。参加11チームは、それぞれ15名以上の選手とプロ契約を結ぶ。最低年俸は、大卒女性の平均初任給に近い270万円。貨幣価値も変わっているので、L・リーグの頃と単純比較はできないが、どん底の時期を思えば、少ない金額ではない。基本給だけでなく、勝利ボーナスなどのインセンティブ契約も出てくるだろう。
また、試合用のスタジアムだけでなく、優先的に活用できるトレーニング場の確保が義務付けられている。ピッチも、天然芝、ハイブリッド芝、人工芝(これは、JFA認定人工芝ピッチ)が推奨されている。チームの半数以上の選手が、サッカー最優先の生活を送ることができれば、練習時間帯の日中へ切り替えも進む。フルタイム労働の後に駆けつけて、照明もまばらな土砂のグラウンドでボールを追う選手は、トップレベルでは減っていくだろう。
欧州をはじめ、各国で充実した環境が整いつつある現在、海外でプレーする選手は少なくない。しっかりとしたプレー環境を整えることで、日本の選手だけでなく、全盛期のL・リーグのように、外国人選手にも選んでもらえるようなリーグへ、成長していってほしい。(文・西森彰)