「元ヤンキース井川慶と同等の失敗例と言われている。特に炎上した試合がニューヨークだったので、試合中の記者席では井川の名前が出ていた。山口のパフォーマンスが巨人・菅野智之がメジャー側と交渉する際にも影響したという記者もいるほど」(同スポーツ新聞MLB担当記者)

 井川は06年オフ、阪神からポスティング制度を利用し、ヤンキースに入団。2600万194ドル(約27億4000万円)のポスティング費に加え、5年2000万ドル(約21億円)プラス出来高という契約を結び、名門の一員となった。しかし、2年間で16試合の登板(13試合に先発)にとどまり、2勝4敗、防御率6.66と結果は散々。残り3年間はマイナー生活で終わったことで、『史上最低のFA選手』とまで言われている。山口獲得を井川同様の失敗と見る関係者も少なくない。

「(メジャー挑戦は)明確には横浜(現DeNA)にドラフトでとってもらった時くらいから、将来的にはアメリカという舞台で野球ということにチャレンジしたいなと。そんな思い描いた自分はいました」(山口/19年11月18日・メジャー挑戦表明会見)

 プロ入り当時からメジャーを夢見ていたと熱い思いを吐露していた。しかし言葉とは裏腹に、米国挑戦に対する準備や覚悟が足りなかったのでは、という声もある。

「素晴らしい球を持っているので、可能性は十分にあった。例えばフォークは武器になったから、それを生かし短いイニングでの役割なら良かった。しかし契約前から先発に拘り過ぎた。自分の特性を客観視できていなかった。リサーチなど準備不足と言われてもしょうがない」(MLBアジア地区担当スカウト)

 素晴らしい球を米国では生かしきれなかった。そうなって来ると次の進路としてNPB復帰も浮上してくる。19年には15勝4敗、188奪三振、防御率2.91をマーク。最多勝、最多奪三振、最高勝率(.789)のタイトルを獲得した。球界を代表する投手の一人となった山口だけに、古巣・巨人を含め手を挙げる球団は多いはずだ。

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巨人復帰の可能性が高い?