離婚はしていません。息子には母親が必要だと思うから、週に3回は子どもが母親との時間を持てるように工夫しています。妻は同居を望んでいますが、子どもを連れ去ろうとした妻をどうしても信用できません。それに信頼していた義理の両親や兄弟が私と子どもとの関係を断絶しようとしていたことが今でもショックで、義理の両親とよりを戻すことについても、前向きな気持ちにはなれないんです」

 妻への愛情がゼロになったかと言われれば、そうではない。子どもの母親として、妻を尊重する気持ちは残っている。子どもは、家族3人で暮らすことを喜ぶだろう。でも……。尚之さんの自問自答は続いている。

 次回は妻・たまきさんの視点から、長男を「連れ去って」でも家を出たかった気持ちを探る。(取材・文=上條まゆみ)

※「【実録】「子の連れ去り」をめぐる夫婦それぞれの言い分 <妻編>」に続く