【実録】「子の連れ去り」をめぐる夫婦それぞれの言い分 <夫編> (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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【実録】「子の連れ去り」をめぐる夫婦それぞれの言い分 <夫編>

上條まゆみdot.
尚之さんのように、男性が子の監護権を持つのはまだ珍しいケースだ。画像はイメージ(写真/PIXTA)

尚之さんのように、男性が子の監護権を持つのはまだ珍しいケースだ。画像はイメージ(写真/PIXTA)

 意気投合し、交際開始。すぐに同居を始め、子どもができたタイミングで籍を入れた。妻は当時、司会業をしていたが、出産を機に辞め、専業主婦になった。

「妻は結婚前からうつ病を患っており、薬を服用していましたが、それで症状は抑えられていたようでした。ところが妊娠、出産を経て、ホルモンバランスが崩れたためか、精神的に不安定な様子がみられるようになりました」

 それで妻は、頻繁に実家に帰ったり、両親に手伝いに来てもらったりしながら子育てをしていた。出張や残業が多く、子育てにかかわりたくてもなかなか時間がとれない尚之さんは、妻を手助けしてくれる義両親に素直に感謝していた。このころ家庭はおおむね平和だった。

 子どもが3歳になり、関西支社に転勤命令が出た。妻ははじめ「身内も友だちもいない土地での子育てする自信がない」と言い、帯同に難色を示した。が、尚之さんが「関西のほうが東京にいるより出張や残業は少なくなるはず、関西にあるホルモン治療の名医がいる大きな病院のそばに住もう」と説得し、妻は従った。

 しかし、家族3人で関西に転居してから、妻の精神状態はますます悪くなっていった。子育てが辛くてたまらないようだった。

「育児って、きれごとではすまない世界じゃないですか。見た目を気にする妻にとって、雑誌などを読んで想像していた華やかなママライフとは違う地味な現実が耐えられなかったのかもしれません。妻は私に隠れてリボ払いをするようになりました。気付かなかった私もばかなのですが、気付いたころには多額の残債を抱えていました。当時を思い出すと、今でも肝が冷えます」

 転勤後は時間に余裕ができ、子育てが手伝えると尚之さんはふんでいたが、実際はそうもいかなかった。

「やはり平日は難しかったですね。でも週末には子どもを公園に連れて行き、妻が一人でホッとできる時間をつくるなど努力はしていたつもりです」

 平日はほぼワンオペに近い日常に、妻の不満は募った。夫婦の言い合いが増え、家庭内の空気は悪くなっていった。次第に、妻は子どもの前でも、尚之さんに暴力をふるうようになった。たまらず、尚之さんは警察署に被害届を提出した。


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