OMデジタルソリューションズ CTO、片岡摂哉さん。オリンパスから新社に移り、製品開発と製造のすべてを統括する(撮影:赤城耕一)。絞り開放で写したがシャープな描写だ。顔、瞳認識、手ブレ補正の能力はさすがに優れている■オリンパスE-M1 Mark II・M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO・ISO400・絞り開放・1/160秒
OMデジタルソリューションズ CTO、片岡摂哉さん。オリンパスから新社に移り、製品開発と製造のすべてを統括する(撮影:赤城耕一)。絞り開放で写したがシャープな描写だ。顔、瞳認識、手ブレ補正の能力はさすがに優れている■オリンパスE-M1 Mark II・M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO・ISO400・絞り開放・1/160秒
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新会社「OMデジタルソリューションズ」(八王子市高倉町)は引っ越しの真っ最中。ということで、インタビューは写真のオリンパス・技術開発センター石川(同市石川町)で行った(撮影:編集部)
新会社「OMデジタルソリューションズ」(八王子市高倉町)は引っ越しの真っ最中。ということで、インタビューは写真のオリンパス・技術開発センター石川(同市石川町)で行った(撮影:編集部)
オリンパス・技術開発センター石川には「オリンパスミュージアム(旧瑞古洞)」があり、歴代のカメラのほか、医療機器や顕微鏡など、さまざまなオリンパス製品を見ることができる。見学には事前予約が必要(撮影:編集部)
オリンパス・技術開発センター石川には「オリンパスミュージアム(旧瑞古洞)」があり、歴代のカメラのほか、医療機器や顕微鏡など、さまざまなオリンパス製品を見ることができる。見学には事前予約が必要(撮影:編集部)
事前に特別な許可を得てオリンパスミュージアムを見学させていただいた。実際にカメラを触れる体験コーナーも設けられて、二眼レフやスプリングスカメラ、一眼レフなども展示されている。もちろん、きちんと動作する(撮影:編集部)
事前に特別な許可を得てオリンパスミュージアムを見学させていただいた。実際にカメラを触れる体験コーナーも設けられて、二眼レフやスプリングスカメラ、一眼レフなども展示されている。もちろん、きちんと動作する(撮影:編集部)

2021年1月1日にオリンパスから独立し、新たに設立されたカメラメーカー「OMデジタルソリューションズ」とは、いったいどんな会社なのか? カメラブランドとしての「オリンパス」はどうなるのか? 今後もきちんと新製品は出るのか? カメラファンにはおなじみの写真家・赤城耕一さんがCTO(最高技術責任者)、片岡摂哉さんに聞いた。ちなみに、お二人は旧知の間柄だそう。

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――私、片岡さんが新会社にいらっしゃらなかったら、どうしようかと心配していたんですよ。やはり、カメラというのは「人なり」というか、製品づくりに対して思い入れのある「人が見える」ことが大切だと思うんです。片岡さんは新会社で経営者の一人としてCTOを務められていらっしゃるわけですが、エンジニアとして開発にも携われるんですか?

片岡 はい、最高技術責任者として、開発と製造のすべてを見ています。

「オリンパス」という名前には非常に大きいものがある

――新しく立ち上がった「OMデジタルソリューションズ」ですが、この社名はどのよう決まったのでしょうか?

片岡 いろいろな案を検討しましたが、オリンパスから独立する、そのうえで、「映像事業を続けていきますよ」ということが世間にきちんと伝わるような社名にしたかったんです。まあ、いまだに「米谷カラー」というのもあるんですが(笑)。

――米谷(美久)さんは1972年に発売した名機OM-1(発売当初の名称はM-1)に始まるOMシステムの生みの親ですからね。Oはオリンパス、Mは米谷さんの頭文字という噂を聞いたことがあります。

片岡 米谷が「OM」開発時に示した考え方、例えば、これまでになかったものをつくるとか、いい写真が撮れればカメラが大きくてもいいという話ではまったくないとか。そしていまも、われわれはその考えに沿って製品づくりをしている。要は、マイクロフォーサーズで、従来、重くて持っていけなかった場所にもカメラを持って行ける、手持ちで撮れる。雨が降っても撮れるとか。昔もいまも、われわれが考えている製品の価値は変わりません。そのうえで、事業を続けていきます、というメッセージを込めるには「OM」がいちばんいいと考えました。

――ただ、私も含めて、多くのユーザーが心配しているのは、「オリンパス」のロゴをいつまで使えるのかな、と。極端な話、未来永劫使えるのか? カメラのブランド名が変わるとユーザーにとってはショックですから。

片岡 少なくとも当面は「オリンパス」でいきます。われわれには映像ブランドとしての「オリンパス」を育ててきたという自負があります。でも、実体としてオリンパスから離れ、これからもずーっとオリンパスという名前でやっていくのがいいのか。そこはよく考えたいと思っています。

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