そんなリードだからなのか、2018年のマスターズでは優勝争いを展開すると、リードの学生時代の騒動など「過去」が突然、メディアで取り上げられ「悪者扱い」。ジョージア大学時代に飲酒違反を犯したためチームを退部させられたと語っていたが、練習ラウンドでのスコア改ざん、チームメイトの物を窃盗するという疑惑がかけられ、本人は今でも完全否定している状態。この後、オーガスタ州立大に転校しているが、それぞれの嫌疑は晴れておらず、真相は闇の中となっている。

 さらには、2018年のデルテクノロジーズ選手権前日には、フェンウェイパークでMLBボストン・レッドソックス戦を観戦したが、この時にツアーから受け取ったチケットの席が不満だったようでSNSで皮肉混じりに投稿。「今夜のレッドソックス戦のチケットありがとう。650ドルのアップグレード代を払っても、他のツアープロと同じ席だった」とポストすると、またまた炎上した。

 とは言え、リードが実力者であることは事実だ。オーガスタ州立大時代はNCAA選手権を連覇。3回出場したライダー・カップでは通算7勝3敗2分という勝負強さを発揮し、今回の勝利はツアー通算9勝目。毎度のように色眼鏡で見られながらも、強心臓でライバルたちを蹴散らす様は、まさに強い「ヒール」のようでもある。

 そして、プロレスのそれとリードが違うのは、インタビューで「うるせぇ、このヤロウ!」などという返しをせず、プロアスリートとして冷静に返答していること。今回も「こういう状況になると、他選手より厳しい視線で見られていると思うか?」と意地悪く聞かれても「もちろん。今日は不運だったけど、(今回の処置は)いつも僕がやっていることだし、みんながすべきこと。競技委員が正しいと認めれば、先に進める」と笑顔も混ぜながら答えていた。

 引き立て役の悪役が強ければ強いほど、物事は面白い。これはプロレスに限ったことではないだろう。PGAツアーが面白いのは、リードのようなキャラクターがいることも要因になっていると思うが、どうだろうか?