04年の手術後、背番号70で再出発。05年10月1日の広島戦で4年ぶりの1軍登板が実現し、1回を3者凡退に抑え、待望のプロ初勝利を挙げた。

 06年には13試合に登板し、150キロ台の“火の玉”ストレートを披露。達川光男氏も「藤川球児になれるのは、この中里でしょうね」と評した。日本ハムとの日本シリーズでも、新庄剛志の現役最後の打席で、全球ストレート勝負し、3球三振に打ち取った。

 だが、翌07年にバランスボールから落下し、左肘を骨折。初めて開幕1軍で臨んだ08年も、自己最多タイの13試合に登板したが、結果を出せず、オフに戦力外となった。

 巨人に拾われた翌09年も、2試合に登板しただけで終わり、2度目の戦力外通告で現役を引退。大きなケガを乗り越え、復活後の5年間はそれなりに投げられたので、「悔いはなかった」そうだが、「自分が思っているよりも、周りの人のほうに“ケガがなければ”と、もどかしさを感じさせてしまった」と複雑な胸中を吐露している。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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