角田の評価は、2020年のFIA F2でさらに上がる。この年、角田は選手権3位となったが、選手権1位と2位のミック・シューマッハと、カラム・アイロットがいずれもFIA F2で2年目以上の経験があったのに対して、角田はルーキーイヤーにも関わらず、ポールポジション4回、優勝3回の結果を残した。FIA F2は1イベントで2レースが行われ、レース1(フューチャーレース)は予選が行われた後にレースを行い、レース2は上位8名がスタート順を逆にして行うリバースグリッドで行われる。したがって、純粋なパフォーマンスを評価するにはレース1の成績を関係者は重視すると言われている。

 そのレース1のポイントだけを計算すると、じつは2020年に最も多くのポイントを獲得していたのが角田だった(選手権トップのミック・シューマッハのレース1の獲得ポイントは合計140点、2位のカラム・アイロットは158点、角田は161点だった)。また、チャンピオンのシューマッハが一度もポールポジションを取っていないのに対して、角田は4回取ったということも、レース関係者は高く評価しており、2020年末に開催されたFIAの年間表彰式では「FIAルーキー・オブ・ザ・イヤー」にも選出された。

 これまでのF1での日本人最高位は「3位」。角田がこの記録を更新しても、だれも驚かないだろう。(文・尾張正博)