FIA F2選手権はF1と併催で行われており、かつてはGP2シリーズや国際F3000選手権として開催されてきたF1への登竜門となるカテゴリーだ。このクラスでの3位は日本人の歴代最高位である。日本人でF1の表彰台に上がったことがあるドライバーはこれまで3人いるが、1990年の鈴木亜久里と、2004年の佐藤琢磨はこのカテゴリーに参戦せずにF1へステップアップ。2012年の小林可夢偉のGP2シリーズ時代のランキングは16位が最高だったことを考えると、角田に寄せる期待は自然と大きくなってくる。

 角田に期待をかけるのは日本人だけではない。角田はホンダのドライバー育成システムである「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」の支援を受けているだけでなく、F1でホンダがパワーユニットを供給しているレッドブルが運営するレーシングドライバー育成プログラムの「レッドブル・ジュニアチーム」のドライバーでもある。今回のF1デビューはパワーユニットを供給しているホンダの要請を受けたものではなく、レッドブルでドライバー育成プログラムを獲得しているヘルムート・マルコの判断が大きく影響している。

 角田がレッドブル・ジュニアチーム入りしたのは2018年だが、それは、この年の夏にハンガリーのハンガロリンク・サーキットで行われたFIA F3の合同テストで、マルコが角田の走りを実際に見て決めたと言われている。このテストにはレッドブル・ジュニアチームのドライバーが参加しており、その中には当時ヨーロッパのFIA F3でランキングトップだったダニエル・ティクトゥムもいた。そのティクトゥムのベストタイムを最終日に角田は100分の4秒差で上まわった。しかも、ティクトゥムがすでにFIA F3に参戦していたのに対して、角田がこの年に参戦していたのは、FIA F4日本選手権。マルコの目の色が変わるのも無理はなかった。

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日本人“最高位”の更新はなるか?