巨人の石井琢朗野手総合コーチ(左)と広島の河田雄祐ヘッドコーチ(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/広島東洋カープ)
巨人の石井琢朗野手総合コーチ(左)と広島の河田雄祐ヘッドコーチ(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/広島東洋カープ)

 勝てるチームに敏腕コーチあり。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 投球、打撃、守備、走塁など、各分野に精通したコーチの存在が勝敗を大きく左右する。優れたコーチの必要性は年々増し、引き抜きとも思える球団間移動すら起こっている。

「コーチは選手の邪魔をしてはいけない。コーチは教えてはいけない。教えるのではなくて、あくまでも選手のサポートをしないといけない」(ロッテ吉井理人/19年1月9日付スポルティーバ)

 自らコーチングした選手が結果を残したり、チームが勝利を挙げた時ほど指導者にとって嬉しい瞬間はない。しかしそこで調子に乗ってしまう可能性は、誰もが持っている。結果を自分自身の手柄にして増長、勘違いして人間性まで変わってしまう人も少なくない。コーチはあくまで脇役。吉井の言葉には最も重要なことが凝縮されている。

「コーチ職の重要性が再認識され始めた。これまで技量に問題があって、選手に教えることすらできないコーチがいたことは確かで、球団内での(コーチの)評価自体もあまり高くなかった。試合は選手自身がやるもの。試合の采配は監督が振るうもの。各部門のコーチはその下に位置するもの。そういった評価を露骨にしているところもあった。しかし近年結果を残している球団は、『専門職』といえるコーチを採用している場合が多い。彼らは現役引退後も勉強を欠かさない」(在京スポーツ新聞記者)

 投手コーチとして現在最も評価されているのは吉井だ。常に自らの立場についてブレず、どの球団でも評価される。そして、どんな時でも投手の立場を最優先に考えて守り抜く。吉井を慕う投手はあとを絶たない。

「日米で経験豊富な吉井は、どうやったら前向きになってマウンドに立てるかを重要視している。勝負の世界なので結果は悪く出る時もあるが、それを次の登板に生かせるように接する。対話を大事にして投手の本音を聞き出すことが最初のスタートと考えている。また最高のパフォーマンスを発揮するにはコンディションは不可欠。自分自身の状態を、常に完ぺきに把握させる。またどんなに重要な局面でも無理な登板は絶対させない。投手はやりやすいはず」(ロッテ担当記者)

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現代の“理想のコーチ像”は?