石井とともに16~17年の広島を支え、外野守備・走塁コーチとしての評価が高いのは、今季から広島のヘッドコーチを務める河田雄祐。

 現役時代は俊足を生かし攻守の“サブ選手”として広島、西武で存在感を発揮した。現役引退後は西武、広島、ヤクルトと主に外野守備・走塁コーチを務めて来た。3連覇後に広島が低迷したのをきっかけに、今年から古巣への復帰が決まった。

「河田自身のプレースタイルが広島野球そのものだった。長打はないがしつこく食らいついて出塁し、1つでも先の塁を狙う。外野守備では俊足と練習によって積み上げられた打球感で広い守備範囲を誇った。コーチになってからも同様の選手を育成、地味ながらも強さの礎を作り上げた。明るい性格でチームを鼓舞するのも得意。暗黒時代に戻ったような低迷に苦しむ広島には、とっておきの人材。ヘッドコーチという肩書だが、主な役割は外野陣の再構築。主砲・鈴木誠也のメジャー挑戦が噂される中、今後を担う外野手の育成は急務。14年ドラフト1位の野間峻祥を、再び磨き上げることも重要」(広島担当記者)

「コーチに求められる技術とともに責任も大きくなっている。例えばロッテでは大物新人・佐々木朗希の育成は吉井に全権が委ねられている。球団としては、顔見せとして(昨季に)少しでも登板させたかったはず。しかしコンディション不良もあり、佐々木と話し合ってストップをかけた。将来的に主力投手になれば良いが、仮にダメだった場合、すべての責任を負わされてしまう。コーチも文字通りの『プロ』が求められている」(在京スポーツ新聞記者)

 かつて名監督と呼ばれる指揮官には、腹心と呼ばれる人物が数人つき、コーチとしての手腕は二の次という時代もあった。

 しかし状況は変わった。技量があればコーチ単体でも評価され、契約されるようになって来た。必要とあれば出戻りも許され、“ヘッドハンティング”のようなことも起きている。求められるのは結果のみだ。

 歴史に残る名監督がいるように、名コーチとして名前が後世に残る人が出るかもしれない。