化学実験のようですが、還元鉄(鉄粉を活性にしたもので、市販されている)、水、食塩、活性炭を使って、家庭でもカイロを作ることが可能です。ガラス容器の底がかなり熱くなります。

■気のせいじゃなかった!「食べられません」の袋が熱い理由

 食品の袋の中に、「食べられません」と書かれた小さな袋をよく見かけます。これは酸素吸収剤・脱酸素剤で、三菱ガス化学のAgeless(歳を取らない)が有名です。食品は酸素により酸化反応を受けて、その品質が劣化しますので、酸素を取り除けば食品の日持ちがよくなるわけです。

 この脱酸素剤には使い捨てカイロで使われている鉄よりも活性な鉄粉が使われています。したがって、食品の袋を開け、しばらくして脱酸素剤の小さな袋を触ると熱いと感じることがよくあります。「気のせいかな」と感じていた人も多いと思いますが、食品は多かれ少なかれ水分を含んでいますので、この場合にも使い捨てカイロと同様の反応が起こっているのです。鉄が酸化反応を受けることにより食品の袋中の酸素が取り除かれる仕組みになっています。

 このように錆、使い捨てカイロ、脱酸素剤は一見関係ないように見えますが、化学的には全く同じ反応が起こっていることが分かります。

■使用後は? 靴に入れて消臭、水で洗って園芸用にも

 使い捨てカイロの利用上の注意は、外袋の裏にずいぶん詳細に書かれてありますので、それを読むべきでしょう。最も注意すべきことは低温やけど、これは滅多に起こらないかと思いますが、就寝時、こたつの中、暖房器具の近くでは使わないことが肝心です。また、発火の可能性を心配する方がおられますが、使い捨てカイロの温度は、せいぜい70度ですからその心配は無用です。食品の包装袋に入っている乾燥剤・酸化カルシウムとは異なります。酸化カルシウムは水と反応すると数百度まで温度が上がります。

 使い捨てカイロを長持ちさせるには、なるべく大気に触れさせないことですから、衣類の間に入れることが必要です。使い終わり硬くなった、うち袋の捨て方ですが、自治体により燃えるゴミ、燃えないゴミの区分が異なりますから注意が必要です。

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使い終わったカイロの意外な活用法