また、カンニングとは違いますが、丸付けを子どもにやらせるのも注意が必要だと筆者は考えています。漢字の横線が2本でも3本でも、細かい部分は見ないふりでさらっと正解にしてしまうのはよくあること。塾の先生が丸付けを行った場合でも、親へは10点増しで申告するといったことも多いそうです。

■ カンニングを見つけても、怒ってはいけない

わが子がカンニングをしていた……。不正が発覚したとき、「間違った育て方をしてしまった」「こんなことをするくらいなら、受験なんかやめたほうがマシかもしれない」などと、まるで犯罪を目の当たりにしたような心境に陥ってしまう親も多いのではないでしょうか。
しかし、これは塾の講師によると、大人が思うほどの重罪ではないらしいのです。

小学生は、道徳心の形成途中であり、先を見通す力が大人に比べてまだ弱いのです。「親に怒られたくない」「悲しませたくない」「いいところ見せたい」という単純な目先の欲求に負けてしまい、不正を経験したことのある子どもは案外多いようです。

 しかし、カンニングは最終的には自分のためにはならないことを自覚できるようになると、かなり減って行くそうです。中学・高校・大学受験を併設している塾の講師によれば、明らかに不正を働く行為は成長とともに減る傾向があるそうです。

 ですから、頭ごなしに怒っても根本的な問題解決にはならないと感じています。「受験日に合格点が取れるように、それまで努力を積み重ねることが大切だ」と子どもに理解させることです。それには、「不正をしていい点をとっても、本当の実力がわからず、学校選びに影響を及ぼすこと」、「合格できそうな学校が分からないということは、最終的にどこにも受からなかったという結果になる可能性もあること」、「だから過去問は間違えてもいいから自分の力で解いてみほしい」と子どもに丁寧に説明しましょう。

 証拠がなくてもカンニングが疑わしいときは、塾の先生に解答用紙を見てもらうのも一つの方法です。プロから見れば、今までの成績からこのくらいはできる、この問題が解けているのは怪しい、と大概の判断がつくそうです。

 もちろん、説明しても、すぐに子どもが納得して行動が伴うとは限りません。ですから、大人が徹底的に解答を管理するというのが正攻法だと思います。過去問は問題部分のみをコピーして渡す、解く年度を事前に予測させない、解いたらすぐに預かる、自室で行う場合は扉を閉めさせない、辞書やテキストなどは遠ざけた状態で取り組ませる、などです。親ができることは、不正を未然に防ぐ環境作りなのかもしれません。(取材・文/スローマリッジ取材班 鶴島よしみ)