※写真はイメージです(Getty Images)
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 親子の受験といわれる「中学受験」。経験したママライターが、この時期特有の悩みや疑問についてつづります。今回は、「過去問」について。

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 第一志望の過去問を解くという作業は、子どもにとっても親にとっても特別な時間です。志望校からのラブレターとも言われる過去問。5年、10年とさかのぼって解くことにより、その学校の求める生徒像が、問題の傾向から見えてくるからです。

 問題ひとつひとつの難易度は高くなくても全体として数が多く、スピーディにこなさないと時間内に解き終えることができないような傾向の学校は、手際の良いマルチタスク型の生徒を求めているとも考えられます。逆に、問題の数は多くなくても、答えを出すまでにいくつもの手順を踏まないと答えにたどり着けないような傾向があれば、思考重視型の学校と考えられます。最近では、プロセスを解答用紙の余白に書かせ、最終的な答えが間違えていてもアプローチ方法があっていれば部分点を付けてくれる学校も増えています。

 過去問を解き始めたばかりのときは、なかなか合格点には届きません。わかっていても、子どもはくじけそうになるし、親は「志望校を変えるべきではないか?」と焦り始めます。そのピリピリしたムードに、子どもは追い詰められた末にやってしまうのが過去問の「カンニング」です。子どもはこっそり過去問の答えを見て、それを覚えて、機械的に解答用紙に書くのです。

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 塾の関係者によると、過去問が並ぶ本棚の前に長く居座る生徒には注意を払うそうです。一見、勉強している風に見えて、解答部分のみを丸暗記している場合があるのだとか。また、過去問の解答を塾で厳重に管理していても、似たようなことは起こるそうです。ある生徒は出来が良過ぎるので、不審に思って様子を観察していたところ、本屋の過去問コーナーで、解答をチェックして覚えていたそうです。スマホやアイパッドで親のいない隙に解答を撮影していたツワモノも。

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