四天王寺では、入学当初から「iNote」と名付けたノートを作らせている。その十時々に発想したことや知り得た情報、読書の感想などを自由に書かせたり、題目を与えたりして生徒同士の討論につなげてきた。

「iNoteには、医志コース独自の放課後講座の感想も記入してもらいます。進路指導部と連携して行うキャリア講座や、大学医学部へのツアーなども充実させてきました。高校2年になるとSLICE(ハーバード大学生との校内英語研修)も実施し、知的な英語体験に生徒たちの満足度も高いです」
 
 医学部受験において、女子差別の報道が記憶に新しい。進路指導部部長である曳野康久教諭は、話す。

「『女子だから差別される』というマイナス思考ではなく、逆に、男女平等への意識が強まっていくという順風ととらえる気持ちでした。四天王寺は、部活動をしながら勉学に励む文武両道の伝統があります。女性として自立できる職業として思いつくのは理系だと医師であり、文系だと弁護士。法学部に進学し、司法試験に合格するといった生徒も一定数います。医学と法学は遠いように見えて、もしかしたら実は、近いのか
もしれません」

(AERAムック編集部・長谷川拓美)