「ヤンキースにも予算枠がある。高額年俸のコールがいるからバウアーまでは獲れない。そうなると田中の存在は大きい。投球スタイルを見ても急激に落ちることは考えられず、3年契約なら妥当なライン。また3年契約でメジャー在籍10年となり年金も満額もらえるようになる。家族のことなどを含めて、ヤンキースとの再契約が濃厚ではないか」

 メジャーデビューから6年連続で2桁勝利を挙げるなど、通算78勝46敗、防御率3.74。また先にも触れたが、16年から19年シーズンは平均で30試合に先発登板しており、ヤンキースが望む「イニングを計算できる先発投手」としても当てはまる。しかし今年はコロナ禍でシーズン自体が60試合に大きく短縮された。加えて開幕前のキャンプでは、打撃練習中にジャンカルロ・スタントンの打球が頭部を直撃するアクシデントもあった。結果10試合の登板で3勝3敗に終わるなど、成績を大きく落としてしまう格好になった。

「コロナ禍で難しい年だったけど全選手、条件は同じ。逆に言えば、こういう年でも良いパフォーマンスができる選手の方が評価は高まる。頭に打球を受けたが、本人の様子を見てもそこまで大きな影響はなかったはず。プレーオフでも悪かったので、米球界で評価が分かれている。しかし昨年までの成績も踏まえ総合的に判断すると、安定度と存在感がチームトップクラスなのは間違いない」

 先発投手の重要な評価指標と言われる『クオリティスタート(先発投手が6イニング以上を投げ、自責点を3点以内に抑えること)』。例えば、先発投手が6回投げて自責点3の場合は防御率4.50となる。田中の場合、メジャー通算7年間で防御率3.74となりパフォーマンスとしては合格点。メジャー挑戦後の投球内容で判断すれば、どの球団も持っておきたい投手であることは確かだ。

「『エース』というのは飛び抜けていないといけないから厳しいが、2番手の投手にはなれる。強力投手陣のチームでも3番手では契約できるはず。今、話題になっている巨人・菅野智之は(田中に)似たタイプとして知られている。メジャーのスカウトには比較対象選手という部分がある。菅野の場合は、ほとんどの球団が田中にしているはず。年齢も丁寧に投げる投球スタイルも似ている。だけど米国での実績がある分、田中の方が戦力としての評価は高い」

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将来的な日本復帰の可能性は?