その他、今季16位(勝点28:7勝7分20敗)の清水、同15位(勝点33:9勝6分19敗)の横浜FCの2チームに、J2からの昇格組となる徳島、福岡も降格候補になるが、この中では清水が今季最終節で2位・G大阪に2対0の完封勝利を収めたように潜在的な戦力値は高い。来季の新監督として東京V、C大阪でも手腕を発揮した知将ロティーナ監督の就任が決定的で、今季リーグ最多の70失点の守備陣を立て直すことができれば、上位進出も可能になるだろう。

 コロナ禍でさらなる経営悪化が伝えられた中で今季13位(勝点36:7勝15分12敗)に終わった鳥栖も厳しい戦いが予想されるが、今季は金明輝監督の下でカウンターサッカーからの脱却に成功済み。優れた育成組織とそれを積極活用する現在の流れを考えると、例え中盤の要であるMF原川力が他クラブに移籍したとしても、しぶとく生き残る可能性は高い。

 それよりも“あやしい”クラブがある。その一つが、今季14位(勝点36:9勝9分16敗)に終わった神戸だ。言わずと知れたMFイニエスタを始め、DF酒井高徳、MF山口蛍、FW古橋亨梧と各ポジションに優れたタレントを揃え、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で準決勝進出を果たしたが、リーグ戦では中位に停滞した末に10月10日からの終盤11試合を1勝1分9敗という無残な形で幕引き。9月下旬から指揮を執った三浦淳寛監督の去就も不透明で、仮に新たに就任する指揮官が“ハズレ”となった場合は再び迷走する危険性もある。そうなれば、どれだけ金銭的なバックアップがあろうとも、J2降格と隣り合わせの戦いを強いられることになるだろう。

 さらに過去の事例を振り返ると、チーム改造に失敗して降格するパターンも多い。それに当てはまるのが、浦和とC大阪だ。今季10位(勝点46:13勝7分14敗)の浦和は、昨年オフに「改革3年計画」を大々的に打ち出したが、その1年目の今季は内容、結果とも伴わず、大槻毅監督の退任が決まり、終盤5試合は1分4敗……。後任に今季J2徳島を優勝に導いたリカルド・ロドリゲス監督の就任を発表したが、それだけで「来季は安泰」とは到底、言えない。オフには大幅な血の入れ替えが予想されるが、この改革が失敗に終わって再び暗黒期に突入する危険性もある。

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監督変更で不安要素があるチームは…