「一気に片づけるから、なんでも入れちゃえ! みたいな人がいる。袋からいきなり包丁が飛び出てきたこともあります。せめて刃にガムテープを巻いてよ、と。軽い気持ちかもしれないけど、悪意と思わざるを得ないときも。スプレー缶が、タオルで巻かれて隠されていたり」

ウイルスがついたマスクを拾う恐ろしさ

 新型コロナウイルスの感染経路に不明な点が多かった「第1波」のころは、マスクやティッシュなども清掃員を不安に陥れた。袋の口が緩くてほどけたり、過度に詰め込まれたゴミ袋が破けたりして、中身を拾い集める過程で感染するリスクがあるからだ。

「わかってきたことも増えて、一時期より恐怖はなくなりましたが、感染者数は増えているし、自宅療養している人もいます。ただ、マスクは小さな袋に入れて処分するよう報道されてからはむき出しで捨てられることは少なくなりました」

 滝沢さんはこうした「周知」の大切さを実感している。これまでにコロナ禍での現場のエピソードなどをまとめた『やっぱり、このゴミは収集できません』(白夜書房)をはじめ、マンガ、絵本などゴミ関連の書籍を多数刊行してきた。また、今秋には環境省のサステナビリティ広報大使に任命されるなど、ゴミ問題の情報発信をする活動も増えている。

変わった世間の意識。レジ袋有料化の効果は?

「清掃員を始めたころから比べるとマナーはよくなっています。当時は簡単なペットボトル分別さえひどかった。キャップを取る、ラベルをはがす。いまでは一般的ですよね? でもシャンプーの容器や卵のパックなども一緒に出す人も多かった。これらはプラスチック資源です。プラ資源は『プラスチック製容器包装』のこと。たとえば、ストロー本体は可燃ゴミで、本体を包んでいる袋はプラ資源。大体リサイクルできるのは、『入れもの』と覚えればいい。ペットボトルも缶もびんも入れものですよね」

 さらに、まだ徹底されていない分別として滝沢さんが気になるのは「紙のゴミ」だという。

「可燃ゴミに入れるのはもったいない。チラシなどの雑紙は古紙として回収できます。ただ燃やすと灰になるだけ。ゴミを減らせますよ。断捨離するなら気をつけてほしいですね」

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レジ袋有料化で現場に変化はあったのか?