最新の話題では、レジ袋の有料化が消費者の行動と意識を変えたが、現場で変化はあったのだろうか。

「ないです……。ゴミ出しに使っていたレジ袋が有料になったからって集積所にそのままゴミを置く人が出てきたり。実は困ることもあった。でも、すぐに結果を求めるのは違いますね。なんでもかんでもタダじゃないとわかってもらわないと。日本も世界に基準を合わせた、といえるでしょうか」

 世界中のゴミを処理するには膨大なお金がかかる。そして、何より環境への負担がかかるということを忘れてはいけない。

「国連が定めたSDGsは効果があったと思います。国レベルで取り組むようになって意識が変わりました。企業もSDGsを考えないとリスクになる。それでもいまだに牛乳パックにプラスチックのふたをつけたり、ペットボトルに取り外しづらいラベルを貼っているメーカーもある。そのラベルをなんでこちらが必死で外さなきゃいけないんだよと消費者も思うようになりますよ(笑)」

食品ロスは大きな課題

 滝沢さんはいま、新たな取り組みとして、「食品ロス」カフェを開くことを計画している。清掃の現場で遭遇する大量廃棄された食品に疑問を持ったからだ。

「食品ロスは店や企業だけの問題ではなく、家庭からもものすごく多い。使っていない野菜や封を開けていないものとか。まずは食品メーカーに協力してもらって、知り合いの芸人さんが経営する飲食店でお客さんに出そうと思います。食品ロスを知るきっかけになれば」

 まずは知ってもらうことが社会を変える一歩になる。滝沢さんは環境問題や社会課題に関心を持つ若年層に期待しているという。

「そういう発想が当たり前の子どもたちを『SDGsネイティブ』って呼ぶんでしたっけ。いまはお金がたくさんもらえるよりも、社会に役立つ会社に入りたい子が多いらしい。世の中は変わっていきますね」

(アエラムック編集部・宮崎香菜)

※ゴミの分別や出し方は自治体ごとに異なります。住まいのある自治体にご確認ください。

たきざわ・しゅういち 1976年生まれ。98年に西堀亮さんと「マシンガンズ」結成。著書に『ゴミ清掃員の日常』(原作/滝沢友紀・漫画)、『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと』『リアルでゆかいなごみ事典』など多数。『かごめかごめ』など小説も発表している。