「色々な競技や人を応援するのが好き。アメフトはあまり見たことがなかったが、喜んで引き受けさせてもらった。『尼崎市、アメフト』を大事にしたい、と言うことで、チャレンジャーズ側からいくつか使用する単語のリクエストがあった。ハナミズキ(尼崎市の市木)やブルー、ホワイト(チームカラー)など。それらを入れつつ、初めて聞いた人でもすぐ口ずさめるようにした。野球は何度も球場へ足を運ぶリピーターが多いので、難しい単語やフレーズを組み込むこともできる。そこが野球との大きな違い」

「and hold our dream, the Dream of Amagasaki」

 2番の英語詞を担当、曲を歌ったのはYascotti氏。日・英語に加えポルトガル、スペイン語も堪能で、多くのフィールドで作詞や翻訳詞を手掛ける。またジャンルに捉われない幅広い楽曲を持つことでも知られている。少年期に英国居住経験があり、アメフトではなくラグビーやサッカーを見て育った。今回の制作過程ではアメフトを見て、プレーだけではなく独特の英語表現や声援などまで確認した。

「ジン氏と共通の知人から話をいただいた。1番はできていたので、2番の英語詞を作詞したのを加え歌わせてもらった。最初に聴いた際は『熱い思いが前面に出ている』と感じた。僕も様々なタイプの曲をやっているが、その中でも詞がストレート。『歓声がこだまする戦いのフィールドに』とか。2番の英語詞は、1番と同じ内容をアメフト用語に組み込んで書き上げた。米国人が聞いても胸に響いて熱くなる、現地のストレートな言葉を使った。米国人が試合を見に来て、身近に感じてもらえるようにしたかった」

 日本のプロスポーツでは各球団公式歌が存在するのは、当たり前でもある。先日まで放送されていたNHK朝ドラ『エール』でも、古関裕而氏が巨人阪神の曲を作った過程が取り上げられていた。しかしそういった習慣は、海外ではあまり浸透していない。サッカー界では各国国歌や『You’ll Never Walk Alone』などの曲は有名だが、これらはファン主導のものといえる。米国でも野球の『Take me out to the Ball Game』などはあるが、これも球団主導の特定球団歌ではない。野球と並び米国色が強烈なアメフトだけに、今回の試みは異例でもある。

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日本スポーツ界の独特な応援文化