【3位】楽天:高梨雄平 ⇔ 巨人:高田萌生

・2020年シーズン途中

 記憶に新しい成功例が今年のシーズン途中のこのトレードだ。プロ入り1年目から3年連続で45試合以上に登板しながらも二軍暮らしが続いていた高梨と、まだまだ高校卒4年目で期待の若手である高田のトレードに驚きの声も少なくなかった。そして高梨は自身最多となる20ホールドをマークするなど、勝ちパターンの中継ぎとして見事に一軍に定着して見せた。もし高梨の加入がなければ、巨人のリリーフ陣はより苦しい状況になっていたことは間違いないだろう。一方の高田は過去2年間と比べても成績はかなり悪化しているが、それでも二軍ではチームで2番目に多い投球回数を投げておりまだまだ期待は大きい。来季は同学年の大学卒投手が3人も入団してくるだけに、奮起に期待したいところだ。

【2位】日本ハム:エスコバー ⇔ DeNA:黒羽根利規

・2017年シーズン途中

 外国人選手のトレードは珍しいが、その中でも大きな成功と言えるのがこのトレードだ。ちなみにエスコバーは2017年に日本ハムに入団したばかりであり、入団1年目の新外国人選手がシーズン途中で他球団へ移籍したのは史上初のことである。1年目はそれほど目立つ成績ではなかったが、徐々に存在感を増し、昨年はリーグトップの74試合に登板。5勝、33ホールドをマークし、チームの2位躍進に大きく貢献した。今年も安定した投球を見せており、もはやチームには欠かせない存在と言える。一方の黒羽根は先日退団が発表され、DeNA時代のような活躍を見せることはできなかったが、数少ない実績のある捕手としては貴重な存在だった。

【1位】日本ハム:吉川光夫・石川慎吾 ⇔ 巨人:大田泰示・公文克彦

・2016年シーズンオフ

 そして過去10年で最もプラスとなった例といえばこのトレードになるだろう。ドラフト1位で入団して期待されながらも伸び悩んでいた大田が新天地では見事に主力へと成長。改めて環境によって選手が大きく変わるということを示した。また巨人では二軍暮らしが続いていた公文も中継ぎとして欠かせない存在へと成長。今年は少し調子を落としてはいるものの、貴重なサウスポーだけに復活への期待も高い。一方、巨人へ移籍した吉川光は2年目の2018年に6勝をマークしたものの、かつてのような輝きを取り戻すことはできず、昨年シーズン途中に再び日本ハムへ復帰。ただ石川はそのパンチ力を生かして、今でも貴重な外野のバックアップ要員となっている。“収支”を考えると完全に日本ハムがプラスではあるが、巨人にとっても決してマイナスではない結果と言えるだろう。

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今後のトレードにも注目