トレード先の日本ハムで主力となった大田泰示 (c)朝日新聞社
トレード先の日本ハムで主力となった大田泰示 (c)朝日新聞社

 パ・リーグではまだまだクライマックスシリーズ進出権をかけた激しい2位争いが続いているが、徐々にストーブリーグの話題が増える時期となってきた。来季に向けての戦力補強が気になるファンも多いが、ドラフトが終わった今、残すチーム強化の手段はFA、新外国人、トレードに絞られることとなる。今回この中で注目したいのがトレードだ。アメリカと比べるとトレードの件数はかなり少ないが、それでも中には見事な戦力補強に繋がった例も存在している。過去10年間に行われたトレードで会心の補強となった例をピックアップして紹介したいと思う。

【写真】珍しい外国人選手のトレードで大きな成功となった選手はこちら

*  *  *

【5位】オリックス:桑原謙太朗 ⇔ 阪神:白仁田寛和

・2014年シーズンオフ

 これは完全に阪神が成功した例として印象深いトレードだ。桑原は2007年の大学生・社会人ドラフト3巡目で横浜に入団し、1年目に3勝をマークしたがその後は結果を残せずに2010年オフにオリックスに移籍。オリックスでも4年間で勝ち星0に終わり、中継ぎの強化を狙う阪神に再びトレードとなった。阪神でも2年間は結果を残せなかったが、2017年には勝ちパターンのセットアッパーに定着し、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。翌2018年にも62試合に登板して5勝、32ホールドと見事な成績を残した。また交換要員となった白仁田も移籍1年目には43試合に登板するなどキャリアハイの成績を残しており、両者にとって悪くないトレードだったと言えるだろう。

【4位】ソフトバンク:新垣渚・山中浩史 ⇔ ヤクルト:川島慶三・日高亮

・2014年シーズン途中

 複数の人数によるトレードはあまり成功例が多くないが、このトレードは両チームにとってプラスが多くなった数少ない例である。投手陣に苦しむヤクルトは実績のある新垣と貴重なアンダースローである山中を獲得。山中は先日、今季限りでの退団が発表されたが、2015年から2年続けて6勝をマーク。貴重な先発ピッチャーの1人となった。新垣も3年間で4勝に終わったものの、2015年には15試合に先発してローテーションの穴を埋めている。一方のソフトバンクも日高は一軍の戦力にはなれなかったものの、川島は貴重なユーティリティプレーヤーとして今シーズンも戦力となっている。上手く補強ポイントがマッチした好例と言えそうだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
最も成功したトレードは?