コロナ禍で変化した家族の在り方。家庭のいざこざやストレスが増え、苦しさを感じている人は少なくありません。そんなときは、家族の態度や気持ちを変えようとするのではなく、自分の心のあり様を変えることで、驚くほど穏やかな気持ちになれます。

 日本における「セルフ・コンパッション」の第一人者である関西学院大学教授の有光興記先生が、著書『自分を思いやる練習――ストレスに強くなり、やさしさに包まれる習慣』で明かした、パートナーと穏やかに過ごすための方法を紹介します。

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・家族の言動に、カッとなる
・家族が、自分をわかってくれない
・家族に心配してほしい、構ってほしい

 たとえばこんなふうに感じて家族の言動にイライラし、喧嘩が絶えないことがあります。相手の一つひとつの態度が気になって指摘するものの、いっこうに変わらず苛立つのです。

 誰しも、家族は「こうあるべき」「こうするのが普通」「こうでないと不幸」といった基準を持っています。ほかにも、「困っていたら手伝って欲しい」「私の話は黙って聞いてほしい」といった欲求があるでしょう。仮にパートナーが手伝ったり話を聞いたりしても、自分の期待通りの行動でなければ、不満に思うのです。その不満がだんだんたまってきて、相手を嫌いになることすらあります。

 家族関係のように長い付き合いとなると、「もう、いまさらどうでもいい」「こんなもんだと、あきらめた」といったように無関心を装っていることもあります。

 パートナーにたびたびイライラするようなら、まず相手を「自分勝手な!」と感じることは、あくまで「自分の思考」だと気づきましょう。そして、怒りは一瞬だけ生じた感情だと捉えるのです。

 パートナーが何かを言ったり行動したりするたびに、その言動を判断することをやめるのです。冷静な状態で、次のような相手の幸せを願うフレーズを唱えていくのです。このとき、リラックスした状態で座り、目をつむるか目を開けて定点を見つめて行うと効果的です。

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パートナーも完璧ではない一人の人間…