■オリックス:75点

 野手で一番人気の佐藤輝明(近畿大)を外して方針転換。スケールの大きさではナンバーワンとも呼び声高い高校生右腕の山下舜平大(福岡大大濠)を指名した。野手の強化は必要不可欠で、佐藤と同じ大学生では牧秀悟(中央大)も残っていたことを考えると山下の指名に疑問の声も上がるが、若手投手が伸びている中に更に将来性のある投手を加えて、投手王国を目指すというのも悪くない選択に見える。更に2位で元謙太(中京)、3位で来田涼斗(明石商)と高校球界で屈指の強打者を二人獲得し、若手野手陣の底上げに成功したことも大きなプラスだ。

 目先の弱点補強という意味では物足りないと感じるファンも多いかもしれないが、野手で即戦力になれる選手は毎年ほとんどいないことを考えると、思い切って将来性に賭けた点は評価できる。近い将来、山本由伸、山岡泰輔、山下が三本柱となり、吉田正尚の前後を太田椋、紅林弘太郎、元、来田などで固めることができれば、非常に魅力的な布陣となりそうだ。

■ソフトバンク:65点

 佐藤輝明(近畿大)を外して高校生野手の井上朋也(花咲徳栄)を指名したがこの選択は大正解。昨年も石川昂弥(東邦→中日)を1位指名しているが、松田宣浩、内川聖一の後継者となれる内野手が最大の補強ポイントであり、井上はチームに不足している右打者という点でもピッタリ当てはまる。そして4位まで高校生野手を揃えたが、これも現在の戦力と将来を考えると頷ける判断だ。2位の笹川吉康(横浜商)は典型的な未完の大器で、少し順位が高いようにも見えるが、とらえた時の飛距離と大型で動ける点は大きな魅力だ。高校時代の柳田悠岐がこんな選手だったのではと思わせる雰囲気があり、ポスト柳田の期待がかかる。

 3位の牧原巧汰(日大藤沢)は高校球界を代表する強打の捕手。捕手では昨年も海野隆司を指名しているが守備型の選手だけに牧原とは特徴が重ならず、上手く二人が並び立つことも期待できる。4位の川原田純平(青森山田)は小柄だがパンチ力があるショートで、タイプ的に重なる今宮健太の後釜として期待がかかる。一方の投手は5位の田上奏大(履正社)に加えて育成でも5人を指名したがいずれも素材の良さが光るタイプで、ソフトバンクの環境であれば大化けも期待できるだろう。

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西武の外れ1位はサプライズ指名