まず、ホワイトソックスは2019年3月にエロイ・ヒメネス外野手と6年4300万ドル(約44億9000万円)で長期契約を結んだ。もともとはカブスのマイナー選手だったヒメネスは2017年7月にトレードでホワイトソックスへ移籍。18年には3Aでの55試合で打率3割5分5厘、12本塁打、33打点をマークした。この活躍を高く評価したホワイトソックスは、究極の先物買いとしてヒメネスと長期契約に踏み切ったのだ。

 結果として、ヒメネスは19年に122試合に出場して打率2割6分7厘、31本塁打、79打点の堂々たる成績をマーク。今季も52試合出場の時点で打率2割9分7厘、本塁打と打点はいずれもチーム2位の14本、41打点の活躍を見せている。ホワイトソックスの先行投資はひとまずの成功を収めたといっていいだろう。

 ヒメネスの活躍に気をよくしたのか、ホワイトソックスは今年1月にもメジャーデビュー前のルイス・ロベルト外野手と6年5000万ドル(約52億3000万円)の契約に踏み切った。パワーではヒメネスに一歩譲るものの、走力と守備力も備えたファイブツールプレーヤーの呼び声も高いロベルトは開幕戦からスタメンに名を連ねると、デビュー3戦目でツインズの前田健太からメジャー初アーチを放って大器の片鱗を見せた。

 その後はバッティングのアジャストにやや苦しんでいるものの、51試合出場の時点で打率2割3分ながら11本塁打、30打点、8盗塁は十分に合格点と言っていい。さらにセンターでの広い守備範囲でリーグトップの刺殺数を稼ぐなど、守備でもチームに貢献しているのはヒメネスにはない強みとなっている。

 では、今後も2人のようにメジャーデビュー前の長期契約例が増えるのだろうか……。実は、ヒメネス以前にもメジャーデビュー前に長期契約を結んだ2人の選手が存在する。いずれも、ヒメネスのように将来を嘱望されていたが、期待に応えられていないという過去もあるのだ。

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過去の“失敗例”は…