2014年に5年1000万ドル(約10億5000万円)でアストロズと契約したジョン・シングルトンは通算114試合に出場して打率1割7分1厘に終わり、わずか2年で戦力外となった。2018年にフィリーズと6年2400万ドル(約25億1000万円)で契約したスコット・キンガリーは2年目の19年に19本塁打とまずまずの結果を残したものの、3年目の今季はレギュラーに定着できず、31試合出場時点で打率1割4分7厘にとどまっている。

 ホワイトソックスのように先行投資が当たれば、大活躍後の年俸高騰の原因となる年俸調停を後ろ倒しにできるなどのリターンは大きいが、そのためには確度の高いスカウティングレポートが求められる。実績の乏しい若手の成長予想は難しく、さすがにこの形での契約が主流となることはないだろう。

 だがメジャー契約前に長期契約をした選手が現れたなら、それは間違いなく超逸材とみなされた有望株だ。ヒメネスやロベルトに続く若きスター候補の誕生には今後も注目していきたい。(文・杉山貴宏)