オリックスの若きエース山本由伸 (c)朝日新聞社
オリックスの若きエース山本由伸 (c)朝日新聞社

 12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっているのがオリックスだ。最後に優勝したのはイチローがまだ若手だった1996年。過去10年間で9度Bクラスに沈み、今年も開幕から他の5球団に大きく引き離されてシーズン途中に西村徳文監督が事実上の解任となった。果たして強いオリックスが復活する日は来るのか。そのために必要な要素を探ってみたいと思う。

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 今年もかなりの高い確率で最下位となりそうだが、選手の顔ぶれを見ると決して明るい材料がないわけではない。むしろ将来に関しては希望を持てる要素が多いのも事実である。まずチームとして最大の強みは山本由伸、山岡泰輔という二人の安定した先発投手がいることだ。昨年は山本が最優秀防御率、山岡が最高勝率のタイトルを獲得しており、年齢を考えてもまだまだここからの上積みが期待できる。

 今年は山岡が開幕早々に故障で離脱したが、この二人が一年を通じてローテーションから外れることがなければ10以上の貯金も作ることも期待できるだろう。山本、山岡の二枚看板以外でも先日プロ初完封を記録した田嶋大樹とプロ入り6年目の山崎福也のサウスポー二人も安定感が出てきており、榊原翼、張奕、宮城大弥などの若手も控えている。数年後はリーグでもトップのローテーションになっている可能性も十分にあるだろう。

 逆に不安なのがリリーフ陣だ。抑えのディクソンは今年36歳というベテランで、セットアッパーのヒギンスも外国人だけに不確定な要素が多い。吉田凌、漆原大晟といった楽しみな若手はいるものの、全体的に層の薄さは否めない。過去には黒木優太や近藤大亮などが登板過多によって故障で長期離脱となっているのも痛いところだ。リリーフ投手の補強をすることはもちろんだが、良い投手を使い捨てのようにどんどん消費していくことがないような、ブルペンのマネジメントが必要になってくるだろう。

 そしてチームの最大の課題が得点力不足だ。チーム打率は首位争いを演じているソフトバンクロッテと比べても差はないが、得点はリーグでダントツ最下位の数字となっている。その要因はやはり長打力不足に尽きる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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