2013年9月21日、敵地でのレッドソックス戦の8回、川崎が放ったゴロが投手のグラブに当たり、方向が変わった打球がセカンドへと転がる。レッドソックスの二塁手ペドロイアはこれを上手くカバーしたものの、一塁上の判定はわずかに川崎が早く駆け抜けたかのようにも見えたが、結果はアウトに。

 この判定に対して瞬間的に頭に血が上った川崎は、キャラに似合わず審判の目の前でヘルメットを地面に叩きつけた。これを目の当たりにした一塁塁審もカッとなった表情で瞬時に退場を宣告。退場となった後に、選手が審判に突っかかるシーンはよくあるが、川崎は怒りをグッとこらえ、自身が投げたヘルメットを拾いベンチへ。悪態をつくことなく、なんとか感情をコントロールしている様子だった。

 先述の2人は審判の判定に対し怒りが爆発した例だが、相手選手への感情をむき出しにしたのがレイズ時代の岩村明憲だ。

 2007年にデビルレイズ(現レイズ)に加入した岩村は、2年目の翌2008年6月4日に行われたレッドソックス戦の8回に、二盗を試みた相手チームのクリスプから危険なスライディングを受ける。結果的には無傷だったが、あわや大けがというダーティプレーにチームメイトは激怒。その日は何事もなく終了したが、味方がやられたら黙っていられないのがメジャーリーガーたちの性分。

 翌5日の試合の2回、レイズ先発のシールズはクリスプを打席に迎え、ここぞとばかりに内角をえぐる球を投じると、「わざと狙った」と感じとったクリスプがスイッチオン。マウンドへ向かったクリスプとシールズが互いにパンチを1発ずつ打ち合う展開から、両チームが入り乱れる大乱闘となった。

 前日に危険なタックルを浴びていた岩村は乱闘の輪の中に入り込むと、同僚の捕手ナバーロがグラウンドに抑え込んだクリスプの脇腹付近にパンチを見舞う。直後にレッドソックスのプレイヤーに引っ張り出されるが、大男たちが暴れまわるメジャーの乱闘で“傍観者”となるケースが多い日本人選手が、乱闘に積極的に加わる珍しい場面でもあった。

次のページ
伊良部や黒田は“武闘派”気質?