※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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日本医科大学病院皮膚科 准教授 アレルギー専門外来 藤本和久(ふじ・もと・かず・ひさ)医師
日本医科大学病院皮膚科 准教授 アレルギー専門外来 藤本和久(ふじ・もと・かず・ひさ)医師

 アレルギー疾患のなかでも、日常の食に関わる重大なアレルギーが、「食物アレルギー」だ。最近ではフルーツやナッツなど、アレルギーを起こす食材も多様化しており、QOL(生活の質)を良好に保って日常生活を送るためには、アレルギー反応を起こす食物を知っておくことが大切だ。アレルギー専門外来を開設している専門医に、食物アレルギーについて聞いた。

【写真】教えてくれたのは日本医科大学病院皮膚科/准教授/アレルギー専門外来の藤本和久医師

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 食物アレルギーとは、ある食品を摂取して、30分から数時間を経た後に、じんましん、腹痛、下痢、くしゃみ、鼻水、せきなどの症状が出た場合に疑うべき疾患だ。

 日本医科大学病院皮膚科でアレルギー専門外来をおこなっている准教授の藤本和久医師は次のように話す。

「食物アレルギーは、すぐ発症する即時型のアレルギー疾患です。食物アレルギーというと卵や小麦、そば、魚介類などを思い浮かべる人が多いと思いますが、近年ではフルーツ、ナッツ、さらに時代を反映して、高級食材、海外からの輸入食材などのアレルギーも増えているのが現状です。中年の女性に増えているというのも特徴です」

 食物アレルギーは、年齢別にみると、乳幼児期は卵、牛乳、小麦が多いが、小児期以降は甲殻類、小麦、果実類が多い。

 食物アレルギーも他のアレルギー疾患同様、原因物質を見つけて正しく診断し、除去することが先決だ。

「口に入れて咀嚼(そしゃく)した瞬間に口の中がかゆくなる、あるいは食後すぐに運動をすると気分が悪くなるなどの症状が出る場合もあります」

 前者は口腔アレルギー症候群といい、特にバラ科の果実(リンゴ、桃、梨、プラム、ビワ、さくらんぼ、いちごなど)が原因となる。

 後者は食物依存性運動誘発アナフィラキシーといい、小麦食品が原因のことが多い。

「バラ科の果実は、花粉症との関連が強いと考えられています。特にハンノキやシラカンバ花粉症の患者さんは、バラ科の果実にもアレルギー症状を示し、他の食物に対してもアレルギーを起こすことが多いです。抗アレルギー薬で花粉症を抑えると、食物アレルギーも症状が軽くなることがあります」

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アナフィラキシーを起こすようなアレルギーは要注意