【表1】【表2】
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 JR東日本・総武本線の両国駅には、各駅停車が発着する1・2番線ホームのほかに、一段低い位置に普段列車が発着していない頭端式ホームがある。その奥にも駅の敷地が広がっているばかりでなく、古めかしく大きな駅舎もなにかいわくがありげだ。そこで両国駅の今昔を探ってみると……。

【表】昔の両国駅発の時刻表はこちら

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■いつものホームに隣り合う古びたたたずまいの3番線ホーム

 両国駅は、JR総武本線の主要駅のひとつで、両国国技館の最寄り駅としての通りがいいかもしれない。通常は総武線各駅停車のみが停車、「新宿わかしお」や「あずさ」など特急の乗り入れはあるものの、いずれも通過となっている。また、都営大江戸線に同名駅があり乗り換え駅として機能している。

 こうして見るとごくありふれた駅なのだが、総武線各駅停車が発着する1・2番線ホームに隣接して、もう1本のホームがあり、なにやらナゾめいた雰囲気を醸しているのだ。「3番線」の表示はあるものの、ホーム上には売店はおろかベンチすらなく、列車はおろか乗客の姿を見かけることもほとんどない。ホームは浅草橋側に構える駅舎の手前で行き止まりになっているので、千葉方面への列車しか発着できないハズだ。

 実は、この3番線ホームは両国駅が房総方面へのターミナル駅だった時代の名残り。一部で「幻のホーム」とも呼ばれているが、かつては6番線まで3本の頭端式ホームが並び、安房鴨川や銚子など房総各地に向けて多数の列車が発着していたのである。

■房総の都心ターミナルとしての地位を築いた

 両国駅が開業したのは1904(明治37)年4月。JR総武本線の前身である総武鉄道による開業で、当初は「両国橋」を名乗っていた。両国橋開業以前の総武鉄道は、本所(現・錦糸町)を起点に銚子とを結んでいたほか、佐倉で成田鉄道(現・JR成田線)と接続し本所~成田間の直通列車などを運行していた。

 そうしたなか、総武鉄道は都心に向けての延伸を計画したものの、現在の両国~浅草橋間に流れる隅田川に行く手を阻まれる形で両国橋駅を設置。房総方面への旅客のみならず、隅田川の船舶などとリンクした貨物ターミナルとしても賑わうこととなったのである。また、開業直後から1910(明治43)年までは、東武鉄道亀戸線の乗り入れも実施されていた。まさに一大ターミナルである。

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国鉄総武本線となり旅客・貨物ともに盛況に